【レインボーWeek】私たち“ふうふ”です!福岡県の公認同性カップルの日常に密着
みえさんとかよさんは同性カップルで、共に人生を歩む’’ふうふ’’。出会いは約10年前。お互いの家族にも認められており、パートナーシップを宣誓。福岡県、そして福岡市からも公認されているカップルです。
「私たちはまだ日本では結婚できないけれど、お互い‘’ふうふ‘’のような存在として、家族として幸せに暮らしています。私たちのような『LGBT』と呼ばれる人たちはみなさんの身近にいます。もしかしたら上司、後輩、家族、友達かもしれません」
2年半前に2人でマンションを購入。最近新しい家族として子猫のメロちゃんを迎えたそう。2人+1匹はどんな日常を送っているのでしょうか。2人の日常を少し覗かせていただきました!
共働きのため、家事は時間がある方が担当。今日は一緒に朝ごはんを作っています。2人とも’’ジブリ’’好きで、本日の朝ごはんは「天空の城ラピュタ」に出てくる目玉焼きの乗ったパン♪
「おいしい!」
みえさんは建築の設計関係の仕事をしており、勤務先にも、かよさんのことをパートナーとして伝えています。
「最初にカミングアウトしたのは家族ですね。全員で食卓を囲んでいるときに、いきなりカミングアウトしました。その時は17歳で、成長過程の一時的な感情というとらえ方をされて。どうにかして一時的ではないということを分かってもらいたかったので、説得力のある年齢になるまでできた彼女を紹介したりとか、レズビアンなんだよってことを訴え続けました。20代後半くらいから親の受け止め方も変わってきて、“ああ、受け入れられてるな”って感覚になりました 」
かよさんの仕事は歯科衛生士。かよさんも病院内で、みえさんのことを オープンにしています。
「飲み会のときにスタッフに伝えました。当時、海外で生活したことのあるスタッフがいて、レズビアンやゲイに偏見がない人だったので、すごく言いやすくて」
歯科医院の理事長にも話したところ、結婚休暇を取得でき、沖縄へ行ったそうです。
理事長は、かよさんから“結婚”の話を聞いたときに思ったことを話してくれました。
「相手が同性だからどうこうということはなく、お互い幸せであればおめでたいことだと思っています。なるべく、うちのスタッフには幸せになってほしいということと、働きやすい環境を提供したいと思っていましたので。受け止め方としては普通の“結婚”と一緒です」
昨年2人は、福岡で開催されたLGBTQ+のイベント『九州レインボープライド2023』に参加し、公開での結婚式で愛を誓いました。
一方で、2人のように周囲に打ち明けられる当事者はごく一部です。 多くの人が、自分のことを隠しながら生活をしています。
パートナーシップ宣誓をしている2人にも悩みがあります。みえさんが不安を吐露します。
「本当に幸せです。ただ結婚したい。でも、できない。何をするにも“結婚”が付きまとうんです。住宅ローンは公正証書を提出して2人で組みましたが、、私が亡くなったときに、本当にかよが住み続けることができるのか。それ(公正証書)がひっくり返ってしまったら、私たちは何も保障がなくなってしまう…という不安がありますね」
「逆にそれ(結婚)ができないからこそ『日本で結婚できるようになるまでちゃんと一緒に生きていこうね』という絆のようなものは深いと思います」
今が幸せだからこそ、つきまとう将来への不安。みえさんが言うように、実はパートナーシップ制度は結婚と異なり、さまざまな場面で「できないこと」があります。
〇パートナーシップ制度でできること
公営住宅入居資格の取得
病院(指定の医療機関)での病状説明、手術の同意など
企業によっては家族と同様の扱い、福利厚生など
住宅ローン(同性パートナーでも組める銀行が増えている)
〇パートナーシップを宣誓してもできないこと
法的な家族関係を得られない(結婚できない)
扶養家族になれない(税や社会保障での優遇が受けられない )
共同親権を得られない(法律上の親のみ)
遺産相続ができない(どちらかが亡くなったときに遺産をパートナーが受け取れない)
先日、札幌高裁に続いて東京高裁でも、同性婚を認めない現行の民法と戸籍法が憲法に反するという判決が出ました。
男女のカップルであれば当たり前に受けられることが、いろんなカップルでできるようになる。不安を抱かず、生涯暮らせる―。そんな将来が近いうちに来ることを願う人が、私たちの周りにも数多くいるのです。
※この記事は、お昼の情報番組「Wish+」(2024年10月22日放送)でお届けしました。