
口コミで広がった田園風景にポツンと佇む「パティスリー プチリジェール」大地の恵みを生かした至福の絶品ケーキ(福岡・大刀洗町)【まち歩き】

福岡県三井郡大刀洗町の田園が広がる住宅街にひっそりと佇む「パティスリー プチリジェール」。店名の「リジェール(Riziére)」とはフランス語で「田園」という意味。まさに筑後平野の豊かな大地に囲まれたこの店の魅力を表しています。
■パティシエの想いが詰まった農業倉庫リノベーション
店主の平田徹さんは、22年間菓子メーカーの工場で製菓長を務めたパティシエ歴35年のベテランです。50歳という人生の節目に独立を決意し、小郡のケーキ店で修行を積んだ後、実家の両親の高齢化をきっかけに大刀洗町に戻ってきました。
「最初は倉庫の横にケーキ屋を新築し、古い農業倉庫は解体して駐車場にしようと考えていました」と平田さんは振り返ります。しかし、工務店の提案で50年以上前に建てられた農業倉庫の立派な梁に注目し、この歴史ある建物をリノベーションすることを決意しました。
かつてトラクターや農業資材が眠っていた空間は、今では古民家風の温かなカフェスペースに生まれ変わっています。2階の天井に残る太い梁は当時のまま活用され、まるで時間が止まったような非日常空間を演出しています。

■口コミで広がった絶品ケーキの人気
当初は冷凍ロールケーキの通販をメインに考えていましたが、友人に試食してもらったところ「これは美味しい!」と評判が広がり、瞬く間に地域の人気店となりました。平日は30組、週末には70組、先日の母の日には200組ものファンが訪れるほどの盛況ぶりです。
「本当はのんびり柴犬と散歩するつもりで実家に帰ってきたのですが、当初の予定とは全く違って大忙し(笑)。でもありがたい日々です」と平田さんは笑顔で語ります。

■地産地消を基本とした季節感あふれるメニュー
ショーケースには約20品の生菓子、棚には約15品の焼菓子、5品のパンが並びます。中でも人気の5種類のロールケーキは、それぞれの食材を生かした逸品です。
あまおうコンフィチュールのロールケーキは、福岡が誇るブランドいちご「あまおう」の優しい甘みが口いっぱいに広がります。八女産和栗プレミアム(モンブランケーキ)は、八女産の栗を使用した贅沢な一品。そして名物のりんごパイは、手土産としても人気が高い商品です。
「地産地消を基本としていますが、何より美味しさにこだわります。素材の味がしっかりと反映するものを厳選しています」と平田さんは話します。特に八女星野村・倉住星渓園の抹茶を使った星野村特選一番茶ロールは、深い味わいが自慢です。

■家族とともに歩む店づくり
お店は平田さんを中心に、奥様と娘さんとの家族経営で運営されています。「朝から晩までフル回転で忙しいですが、楽しみにお店に来てくれるお客様のためにショーケースからケーキを切らしたくない」という想いで、日々真摯にケーキ作りに向き合っています。
■田園風景とともに味わう至福のひととき
2階のカフェスペースからは美しい田園風景が一望でき、女性一人での利用や、土日には家族連れで賑わいます。竹炭焙煎コーヒーとともに味わうケーキは格別です。
「お客様には、ここで非日常を感じてもらいたい」と平田さんは語ります。近所の方はもちろん、朝倉、甘木などの近辺から、さらには飯塚、北九州、糸島など福岡の遠方からも常連のファンが足を運びます。

■地域への想いと未来への展望
「大刀洗町全体では人口が増えていますが、4つの地区のうち私の住む大堰地区は高齢者が多く若者の人口流出が進んでいます。少しでもお店があることで地区が盛り上がり、このお店をきっかけに故郷に帰ったり移住してもらえれば」と地域への愛情を語る平田さん。
「今後はのんびりとした田舎のパン屋さんをしたい。いつまでやれるかわからないが、生涯現役でやれるだけのことをやっていきたい」と未来への想いを込めて話します。
パティスリープチリジェールは、まさに「大地の恵みをふんだんに使ったグルメの宝庫」大刀洗町を代表する店として、地域に根ざしながら多くの人に愛され続けています。田園風景に囲まれた古民家で味わう絶品ケーキは、訪れる人々に特別な時間を提供しています。
■「パティスリー プチリジェール」
住所:福岡県三井郡大刀洗町大字菅野633-1
電話:0942-25-8326
営業時間:10:00~17:30
定休日:水曜・第3木曜
駐車場:11台
Instagram:@petit.riziere1101
https://www.instagram.com/petit.riziere1101/
URL:https://petitriziere.base.ec/