Newオープン!火災を乗り越えた隠れ家「piilo」が灯す「本当の豊かさ」。暮らしを優しく彩る北欧スタイルの複合空間(福岡・福津市)【まち歩き】

■「隠れ家」コンセプトで新たな体験を提案する福津の複合施設

福津市に2025年5月、一風変わった複合施設がオープンしました。その名も「piilo(ピーロ)」。フィンランド語で「隠れ家」を意味するこの場所は、外からは中の様子が見えにくい造りでありながら、知る人ぞ知る特別な空間として注目を集め始めています。
実はこの施設、元々は2号店として福津での出店を検討していた製菓店「藍昊堂菓子舗」が、2022年に発生した北九州市旦過市場の大規模火災で1号店の本社を失うという予期せぬ困難に見舞われ、結果として福津が唯一の拠点となった復活の物語でもあります。
今回、名物の「チーズ饅頭(税込220円)」をいただきながら、オーナーにその想いを伺いました。

■メディア業界から転身、「消費ばかりの暮らし」への反省

「以前はメディアで働いていて、慌ただしい日々を送っていました。消費ばかりの生活に疑問を感じ、流行りには乗っからず、できるだけ削ぎ落としてシンプルに生きたいと思うようになったんです」とオーナーは語ります。それが、新しい価値観への転換点となりました。
そして旦過市場火災で本社を失うという大きな困難を通じて見つけた「暮らしを優しく灯す」という価値観が、今のpiiloの根幹となっています。
そんなオーナーが目指すのは、「素朴なお菓子、体に優しいおやつ」の提供です。

■藍昊堂 ~火災を乗り越えて復活した製菓への想い~

火災で失ったレシピや設備を一から立て直しました。取材でいただいた「チーズ饅頭」は、オーナーの出身地宮崎の郷土菓子として愛され続けてきた逸品です。
藍昊堂の主な商品
● こぶたのプリン(看板商品)
● 宮崎銘菓・チーズ饅頭
● 米粉スイーツ(グルテンフリー対応)
● 全粒粉スコーン
● 米粉ロールケーキ
● 米粉ドーナツ

米粉を使ったグルテンフリースイーツにも力を入れており、食物アレルギーを持つ人々への配慮も欠かしません。「体に優しいおやつ」という言葉に込められた、食べる人への思いやりが感じられます。
地産地消への取り組みにも熱心です。「観光協会のご協力で、地元の農家さんと繋がっていく予定です。今の季節にあるもの、野菜や果物を使いたい。宗像の無農薬の甘夏も素晴らしいです」
地元食材を積極的に取り入れることで、福津・宗像エリアの生産者との新たなネットワーク構築を目指しています。

■Piilo kahvila ~ペットも一緒にゆったりと~

「お客さんが来てゆったりしてくれたり、日記を書いたりしているのが見たかった。自分がお客さんとして居たい場所にしたい」
Piilo kahvila(ピーロカハヴィラ)は、ペットフレンドリーカフェとして運営されています。愛犬・愛猫と一緒に、時間を忘れてくつろげる空間を提供しています。

■フィンランド語に込めた北欧への憧れ

「北欧での暮らしに憧れがあって、言葉が日本語に響きが近いんですよ。『ピーロ』は隠れ家って意味なんですが、このお店の横を流れている川は鳥がいっぱい飛んでいて、鳴き声がよく聞こえるんです。鳥の鳴き声と『ピーロ』という響きがとても気に入って。」

piiloの3つのフィンランド語
piilo:隠れ家
sateenkaari:虹
kahvila:カフェ

福津の虹が架け橋になって、彩りを暮らしに添える。セレクトショップの名前「Sateenkaari」は暮らしを優しく灯したいという思いで名付けられました。

■オーナー自身で作り上げた愛着ある空間

「最初にここに来たとき、緊急事態宣言が出たあとのGWでした。川沿いで他にはない良い場所で、ここだと決めて。業者を入れるのではなく、自分で作っていきたい。愛着・思い入れ、自分の手で作っている時間も大切にしたかった」
外からは中が見えにくい造りながら、「中に入った方だけが味わえる、ちょっと特別な空間」を演出しています。手作りの温もりが感じられる内装は、まさに「隠れ家」の名にふさわしい造りです。

■Sateenkaari ~暮らしを彩るセレクトショップ~

雑貨・ギフトを扱うセレクトショップ「Sateenkaari(サティーンカーリ)」では、「暮らしを彩る」アイテムを厳選しています。単なる消費の場ではなく、訪れる人が何かを「発見」し、新しい「体験」を持ち帰れる場所づくりを目指しています。
「ワークショップも行って、きっかけ作りをしたい。先日は『一年後の自分に手紙を書く』企画や、コーヒー屋さんを呼んで『自分のブレンドを作る』ワークショップも行いました。」

■なぜ福津を選んだのか ~川沿いの特別な立地と自然豊かで人が優しい理想の地~

piiloは川沿いに立地し、汽水域という特別な環境にあります。「フグやエイなどの魚が見ることができたり、潮の満ち引きを感じることができたり、鳥がたくさん飛んでいます」とオーナーが語るように、まさに自然と共にある空間です。
「元々縁がなく来たのですが、空気感、自然を感じられる場所。前は空が見えない場所で営業していたので、ここはすごい空が開けているし、自然への憧れがありました。海もあって山もあって川もある。博多や北九州などの都会の中間にあって自然が豊か。田舎感がないのに、住んでいる人がみんな楽しんでいる。『福津嫌い』って言う人がいなくて。余所者を受け入れてもらえる印象があり、快適な場所なんです」

■「消費」から「体験」へ ~新しい豊かさの提案~

福津市の隠れ家piilo。ここは単なる店舗ではなく、慌ただしい現代社会への静かな問いかけの場所です。「消費ばかり」の生活から「体験として味わう」暮らしへ。流行を追うのではなく、本当に必要なものを見極める目を養う場所へ。

火災という困難を乗り越えて辿り着いた福津の地で、オーナーが見つけたのは「暮らしを優しく灯す」という自分達が最も大切にしたいことでした。フィンランド語で名付けられた3つのサービスは、それぞれが虹(sateenkaari)の一色となって、訪れる人の日常に彩りを添えています。
「植栽は苗から植えてるんです、お客様と一緒に成長を見ていきたくて」
その言葉通り、piiloは今も成長を続けています。一部工事中のエリアがあることも、この場所の「完成されていない魅力」の一部なのかもしれません。
福津という「快適な場所」で、新しいコミュニティの「シン名所」として静かに輝き始めたpiilo。あなたも、この隠れ家で自分だけの発見をしてみてはいかがでしょうか。


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■『piilo(ピーロ)』
住所:福岡県福津市西福間2-20-7
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜

HP:https://www.piilo.jp/

Instagram@piilo.jp
https://www.instagram.com/piilo.jp/

URL:https://www.instagram.com/piilo.jp/

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