

福岡県糟屋郡久山町の県道21号線沿いにある、黄色い壁と猫のイラストが目印の『LITTLE DINER JACK(リトルダイナージャック)』。郊外の風景に溶け込むこのお店は、老若男女に愛されるアメリカンハンバーガーの名店として、今や地域になくてはならない存在になっています。
■ドライブイン志向で選んだ久山町
お店を営むのは白川憲一さんと奥様。
「郊外でやってみたいという思いがありました。香椎で妻が10年ほど喫茶店を一人でやっていて、コロナ禍で私がサラリーマンを辞めて一緒にやることになったんです。僕は古い車やヴィンテージなものが好きで、車を停めやすい道路沿いの場所を探していたらここがあって。本当にドライブインをイメージしています」。
久山町は以前からよく訪れていた場所でもあり、郊外での新たな挑戦にぴったりの立地でした。

■幅広い世代に愛される理由
店内に入ると、アメリカンな装飾が温かく迎えてくれます。しかし、このお店の最大の特徴は、その客層の幅広さにあります。
「本当にご年配の方、多分ハンバーガー屋さんにしては珍しいくらいおじいちゃんおばあちゃんに来てもらっていて、もちろん生まれたばかりの赤ちゃんから幅広い年齢層の方々にお越しいただいています」。と奥様は笑顔で語ります。
中心となるのは30〜40代の地域住民で、近所の家族が世代を超えて訪れています。おばあちゃんに連れられた孫、親子三世代での来店も珍しくありません。
■1週間かけて作る自家製ベーコンの魅力
同店の看板メニューは、1週間のルーティンで作り上げる自家製の燻製ベーコンです。その手間暇かけた製法に秘密があります。
「1週間ぐらいかけて完成まで持っていくんです。燻製は8時間火にかけますが、その前に大きな肉を塩漬けして、塩抜きして、干してという工程がたくさんあります」。
人気のベーコンジャムは、メープルシロップで煮込みながらも、バルサミコ酢やオニオンなどの材料で複雑な味わいを演出しています。照り焼きとはまた違う、甘じょっぱい独特の風味が特徴です。
「もともとはイギリスが発祥で、数年前にアメリカでブームになったんです。『ここに来たらベーコンジャムを食べるべき』という口コミで、初めての方でもベーコンジャム目当てで来られる方が多いですね」。
【今回取材でいただいた商品】
・「ベーコンエッグチーズバーガー」(税込1,380円)「フライドポテトセット」(+税込200円)
・「ハニーレモンソーダ」(税込500円)

■手作りへのこだわりと温かい接客
メニューはハンバーガーのソースから、ソーセージ、ドーナツまで可能な限り手作りです。パンも地元ベーカリーに特注し、小さな子どもでも食べやすいものを厳選しています。
パティは産地と部位を指定した合挽き肉を使用しています。「おじいちゃんおばあちゃんや子どもでも食べやすく、テイクアウトで冷めても硬くならないよう、食べやすい食感を目指しています」。
接客でも温かみを重視しています。「今の時代なんでも便利になってお水も注文もセルフが多いじゃないですか。でも人の温かみや繋がりが、料理をより美味しくすると信じています」。
■5種類の豆から選ぶこだわりコーヒー
ハンバーガー店としては珍しく、本格的なコーヒーも自慢の一つです。お客様が5種類の豆から好みを選び、注文を受けてから豆を挽いてハンドドリップで提供します。
「妻が香椎のカフェ時代からずっとコーヒーにこだわっていて、ゆっくりした時間を過ごしてもらいたいんです」。
豆は東区三苫の『ホップコーヒー』からオーガニック・フェアトレードのもののみを仕入れ、発展途上国の生産者との公正な取引を重視しています。

■毎月変わる季節限定メニュー
常に2種類の季節限定メニューも人気の理由の一つです。秋にはかぼちゃ、冬には焼きリンゴを使ったバーガーが登場します。現在提供中の「ハラペーニョポッパー」は、メキシコのバー料理をハンバーガーにアレンジした挑戦的な一品です。
「毎月楽しみにされるお客様がいて、『今月は何?』『来月は何?』とフライングで聞いてくる方もいます(笑)。3年続けていると、去年のメニューの復刻を求められることもあって、私たちも毎年少しずつグレードアップを意識しています」。
■品質重視の姿勢と供給の課題
手作りにこだわることで、供給が追いつかない課題もあります。特に人気のベーコンジャムは、燻製ベーコンの端材を使うため原料に限りがあり、1週間に1回仕込めれば良い方だそうです。
「平日で売り切れて週末にはないということもあって、お客様には申し訳ないなと思うんですけど、極力切らさないよう工夫しています」。
それでも品質への妥協はしません。「提供するものは、私たちが『今日も美味しい』と思えるものだけ。1年ほどかけて納得のいく味を作り上げます」。

■地域と共に歩む未来
開業4年目を迎えた今、白川さんご夫妻が目指すのは「長く愛される店」です。
「子どもたちが成長して大人になっても訪れてくれるような、そんな店でありたいです」。
以前のアルバイトの子が成人式に顔を出してくれたり、常連客の体調の変化に気づいて声をかけたり。食を通じた人とのつながりを何より大切にしています。
「自分も多くの人に支えられてここまで来ました。食べ物だけでなく、人との繋がりが今の私をここにいさせてくれているんです」。
久山の山が広がる風景の中で、手作りの温もりと人とのつながりを大切にするリトルダイナージャック。一度訪れれば、きっとあなたも虜になるはずです。
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■『 LITTLE DINER JACK(リトルダイナージャック)』
住所: 福岡県糟屋郡久山町久原3399
電話: 092-692-4283
営業時間: 平日・土曜 10:30〜21:00 / 日曜 10:30〜18:00
定休日: 金曜日
Instagram:@little.diner.jack
https://www.instagram.com/little.diner.jack/
■ LITTLE DINER JACK(リトルダイナージャック)
住所:福岡県糟屋郡久山町久原3399
URL:https://www.instagram.com/little.diner.jack/
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