

福岡県糟屋郡新宮町に、一風変わった店名の蕎麦屋がある。その名も『そば処 あみだ丸』。32歳の若き店主・近藤貴耶さんが営む注目の一軒だ。
■飲食未経験から蕎麦職人への転身
2023年の9月にオープンした『そば処 あみだ丸』。近藤さんの経歴は実にユニークだ。
「もともと飲食業に全く興味がなかったんです。なんとなくフラフラしていて」。
そんな時、友人から「蕎麦屋いいんじゃない?」という提案を受け、試しに蕎麦屋に食べに行ったところ、その味と渋い雰囲気に魅力を感じたという。
「自分で商売をしたいという気持ちはずっとあったので、これかなと思って。蕎麦屋で修行した後に、自分でお店を持ちました」。

■印象的な店名の由来
店名の由来について聞くと、近藤さんは少し照れながら答えてくれた。
「実は漫画のキャラクターの名前なんです。そのキャラクターがかっこよくて、僕の憧れです」。
同世代なら分かる人も多いが、年配のお客さんからは「船の名前?」「親が漁船持ってるの?」と聞かれることも多く、いちいち説明するのが少し面倒だと苦笑いする。
「でも他に思い浮かばなかったんです。『そば処近藤』とかより、断線印象に残るでしょ?」。
この店名選びからは、近藤さんの率直で飾らない人柄が垣間見える。32歳になった今でも、少年時代に抱いた憧れを大切にし、それを自分の店に込める勇気。世間の常識や慣習にとらわれず、自分らしさを貫く姿勢。
そして何より、お客さんの記憶に残る店でありたいという、商売人としての真摯な想いが込められているのだろう。時に誤解を招くこともある店名だが、それすらも愛嬌として受け入れる近藤さんの器の大きさが、多くの常連客に愛される理由なのかもしれない。

■九州らしい甘めのつゆが自慢の二八蕎麦
蕎麦へのこだわりについて聞くと、近藤さんの表情が真剣になった。
「二八蕎麦で、つゆは九州らしく甘めに仕上げてます。他の蕎麦屋さんとは違う食感を大切にしています」。
この独自の蕎麦とつゆは、テレビ番組でも紹介され、話題となった。おすすめメニューは「天ざる」(税込1,700円)で、見た目も美しくボリュームがあることから、多くの客に愛されている。

■居抜き物件との運命的出会い
開業までの道のりも興味深い。テナント物件を探していた時、偶然入った蕎麦屋で前店主と出会い、その場で譲渡の話がまとまったという。
「厨房を見てたら『お前なんや』って声をかけられて。蕎麦屋をやりたいと話をしたら、ちょうどお店を畳もうとしていたタイミングだったみたいで『全部譲る』って」。
総額1000万円ほどの初期投資で全面リフォームを行い、厨房機器とテーブル以外はすべて新調した。
■愛され続ける理由は「一生懸命」と「健康第一」
現在の客層は新宮町内だけでなく、福岡市や県外からの固定客も多い。お客さんとの距離が近く、LINE交換をして飲みに誘われることもあるという。
「お客さんに『美味しかった』って言われるのが一番嬉しいですね。可愛がってもらってます」。
近藤さんの強みは、なんといってもその継続力だ。
「定休日も休んだことないです。風邪もひかない、病気もしない。健康第一で一生懸命やってます」

■期待の超新星が紡ぐ蕎麦ストーリー
蕎麦屋としては「長く続けられるように頑張る」と語る近藤さん。32歳という年齢は蕎麦屋業界では若手にあたり、まさに「期待の超新星」だ。
漫画キャラクターの店名選びに表れているように、常に自分の直感に従って生きてきた近藤さんらしい、型にはまらない人生設計。飲食未経験から始めた蕎麦作りへの一生懸命な取り組みが、店の温かい雰囲気と人柄の良さにつながっているのだろう。
一風変わった店名の裏に隠された店主の自由な発想と、こだわりの蕎麦。新宮町を訪れた際は、ぜひ『そば処 あみだ丸』で特別な一杯を味わってみてはいかがだろうか。
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■『 そば処 あみだ丸』
住所: 福岡県糟屋郡新宮町立花口1088-8
電話:080-6216-0741
営業時間:11:00~16:00
定休日:水曜
Instagram:@amidamaru__17
https://www.instagram.com/amidamaru__17
■ そば処 あみだ丸
住所:福岡県糟屋郡新宮町立花口1088-8
URL:https://www.instagram.com/amidamaru__17
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