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KBCでは、2025年10月20日から26日まで、性的マイノリティーの当事者や、その支援者であるアライの方々の想いや活動などを伝える「レインボーウィーク」プロジェクトを展開しました。
テーマは“違いを超えて、違いをチカラに”。
わたしたちは、互いに等しく尊重し合えるような社会づくりの一助を目指します。
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「ジェンダーレス制服」と聞いて、あなたは今、どんな景色を思い浮かべますか?もしそれを「特別な取り組み」だと感じているなら、現場のスピード感に驚くかもしれません。今や生徒たちにとって、多様性は「わざわざ語るまでもない当たり前」。性別の壁を軽やかに超えていく彼らの姿は、大人たちに新しい問いを投げかけています。「アサデス。KBC」では、制服を通じて「ジェンダーレス問題」に向かい合う学校現場を取材しました!
■福岡女子商業高校:組合せ自由なジェンダーレス制服
福岡県那珂川市の福岡女子商業高校。こちらでは、全国に先駆けて、10年ほど前にジェンダーレス制服を採用。その背景には「性自認と制服の乖離に悩む生徒を助けたい」という想いがありました。
養護教諭の真方沙良さんは、「個人的に、『スラックスを履くことで生徒が浮いてしまうのでは』という相談が保健室に来るのではないかと思っていました。でもその心配はまったくなかった。スラックスを履いていても特別視することなく、学校生活を送れているのは安心感があります」と語ります。
2022年には、生徒主体で制服をリニューアル。生徒自身がセレクトショップ「BEAMS(ビームス)」や学生服メーカー「カンコー」と協力してデザインや組み合わせを話し合い、今の制服が誕生したといいます。生徒からも「学校カラーのオレンジに合わせたデザイン。珍しいのでかわいいと思う」と、評判は上々です。
現在、福岡女子商業高校では、多いときには1クラス5、6人がスラックスを履いているといいます。ある生徒は「性別にとらわれず自分で選べるのはいいところ」と話し、また別の生徒は「髪型や雰囲気に合うのはスラックス」と、自分の個性を基準に服装を選んでいます。
「女子商では、価値観の違う人を否定するのではなく、相手のことや自分を分かってもらうために“対話”を大切にしています」と、教頭の緒方泰士さん。
そんな日常を送る生徒たちには、「女子だからスカート」「男子はスラックス」という概念はすでにありません。そんな現状を目の当たりにして、緒方さんは「ジェンダーレスという言葉自体が、もう古いかなと」とも。「違いが当たり前になっている気がします」。
実際にある調査では、中高生の約8割が「女子がスラックスを履いていても違和感はない」と回答。福岡市・北九州市の市立中学校でも、2020年からジェンダーレス標準服を導入。性別にとらわれることなく、自分の好きな制服を選べるようになっています。
■置き去りにされた「本当のジェンダーレス」
一方で、弁護士の後藤富和さんは、ジェンダーレス制服の導入後に残された課題を指摘します。「生徒と、保護者や教員の間に意識のギャップを感じます」。
後藤弁護士は、過去に福岡市立警固中学校のPTA会長として、不合理な校則や制服問題の改革に尽力しました。別の中学校に通っていた性的マイノリティ―の高校生から、「中学時代は、セーラー服を無理やり着せられていた」という話を聞いたことで、制服の改革を進めたといいます。しかし、そこには高い壁が立ちはだかっています。「ジェンダーレス制服になっても、『女子はスカートかスラックスを選べるが、男子は選べない』という感覚の先生がまだいると思います。ついついそれが、生徒指導の中で言葉に出てしまうんです」。先生たちも決して意地悪で言っているわけではないとも。「人から外れたことをするといじめられるのでは、という子どもを守る意識が強いのかなと思います。制服を変えた背景にある事情や時代の流れまで意識が追いついていないのかもしれない」
■佐賀県立佐賀西高校(佐賀市):私服を導入
制服改革の動きは、私服登校を模索する試みへと広がっています。福岡女子商業高校では、服装もメイクも自由な「カジュアルデー」を導入。宇美商業高校(福岡・宇美町)では、社会でTPOをわきまえた服装を選択できるようにするため、「オフィスカジュアルデー」を実施しています。そんな中、佐賀県立佐賀西高校(佐賀市)では、2024年度に、佐賀県内の全日制公立高校では初めて私服登校を認めました。生徒や教員、保護者からなる検討委員会が、生徒の多様性に配慮した制服の在り方を議論し決定。式典など学校が指定する行事以外は、自分の好きな服装で通ってOKだといいます。導入から1年以上経ったいまでは、全校生徒の7割が私服で登校。生徒からは「自分の好きな服を着ていけるのは嬉しい」「学校が楽しくなる」という声が上がっています。
教頭の平野隆治さんは「私服を通じて、自分らしい姿、在り方、またそういった気持ちを持てることにつながるので、すごく効果がある変更だったと思います」と話します。
男女による服装の違いについて、「あまり考えない」「意識が芽生える前に、ない」と話す生徒たち。もし服装にルールがあったら、ジェンダーを少し意識する場面があるかもしれないけれど、「みんなが着たい服を着るようになって、意識することがなくなっています」とも。私服での学校生活が、多様性を認め合い、個性を尊重する意識を育むきっかけにもなっているようです。
※KBC九州朝日放送 2025年10月21日「アサデス。KBC」の放送内容です。
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『取材対象』
福岡女子商業高等学校 関連サイト:https://yashima.ac.jp/fgchs/
佐賀県立佐賀西高等学校 関連サイト:https://www.education.saga.jp/hp/saganishikoukou/
宇美商業高等学校 関連サイト:https://umishoh.fku.ed.jp/
大橋法律事務所(後藤富和弁護士) 関連サイト:https://ohashilo.jp/
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