山口先生に聞いた「第5波収束 ワクチンが進む中また波はやってくる?」
2021年09月30日
[アサデス。TV(ニュース)]

今回の緊急事態宣言は10月1日で一斉に解除されることになりました。これについてはどうお考えでしょうか?
山口先生「緊急事態宣言もあまり長く延長してしまうと効果が落ちてしまうので、タイミングとしてはいいのではないかと思います」
まずこちらご覧いただきます。

29日までの福岡県内の新規感染者数をグラフにしていますが、改めて見るとこの第5波と言われる今回の波は、大きかったなあと思いますね。一時1日の新規感染者数が1200を超えましたけれど、その後急激に下がったことが、この波の形でもわかります。前の週の同じ曜日と比べると、新規感染者数がずっと下回っているという状況が続いています。これはこのままこの波は収まると見ていいでしょうか?
山口先生「そうですね、かなり底に近いところまで減っています。また、前回の第4波・5波の間はあまり収まりきらずに第5波が来た印象だったのですが、今回はかなり減っていますね。このままもっともっと減ってくれると、次の波が来るのが遅くなると思います」
第4波の後の状況と、今回との一番の違いはやはりワクチンということになりますか?
山口先生「何か介入したこととしてはワクチンということになりますね」
そのほか、急激に感染が収まっていった理由は考えられますか?
山口先生「これが専門家の間でもはっきりわからないのですが、これだけ急に増えたものが急に減るというのは、うまく説明することがまだできないですね」
医療の現場も状況は改善しています。病床使用率は最新で20.6%、そして重症病床使用率は11.3%となっています。先生、これもちょっと安心できる数字ですね?

山口先生「安全なレベルまで下がっていますし、今回の特徴は重症病床が本当にひっ迫しなかったことですね。患者さんの数は多くて大変だったのですが、集中治療室のひっ迫度合いは安全なままで推移したのが一番の特徴で、これもワクチンの影響が大きいと思います」
重症化するリスクの高い高齢の方などからワクチンを打っていったということが大きな要因でしょうか?
山口先生「高齢の方を中心にワクチンが間に合った層では、感染者数も重症者数も少なかったですね」
今後福岡県独自の条件などはありますけれども、お酒の提供も始まるということになります。これまでずっと我慢していた方が、やはり解除となると、一気に溢れるということも考えられますよね。私達はどう受け止め、どう行動していけばよいでしょうか?
山口先生「今回大きな節目を迎えていると思っていて、それはかなりワクチンの接種が終わって、欧米並みになった。重症者が減ったこともそうですけれども、ある程度コロナに対して防御体制が整ったということだと思います。今後は少し経済活動を広げていく方向に、国も舵を切るのではないかと思います」
飲食店の営業の形、人の動きもそうなりますでしょうか?
山口先生「そうですね、イベントも含めてですね。もうそろそろ緩めていかないと、皆さんやっぱり我慢の限界ということもありますね。ちなみに次の波が来るのは確実です。おそらく第6波も第7波も、第8波もくるでしょう」
感染は終わらないということですね?
山口先生「終わらないです。重症者や中等症者が減って、インフルエンザのような病気になるというのが一番いいシナリオですね」
流行はやってくるけれども、命の危険がある人が減ってくるということですね?
山口先生「そうなると指定感染症も解除できますし、今のところ一番現実的なシナリオですね」
中等症や重症の方への治療の仕方も変わってきていますか?
山口先生「実は治療はかなり変わっていて、ステロイド、抗ウイルス薬、新しいタイプの薬が出てきて、かなり救命率は上がっていますね」
かなりワクチンの接種が進んでいるイスラエルでもやはり感染が増えている状況があります。集団免疫の獲得というのは中々難しいのでしょうか?
山口先生「集団免疫を獲得して、流行が起こらなくなるというのは難しいと思います。ただワクチンの追加接種をやっていくと、かなり感染者も重症者も抑えられて、社会活動があまり制限なくできるというような体制には持って行けるかもしれないですね。ただし、手探りなので、どれぐらい緩めたら、どれぐらい流行するかはやってみないとわからないですね」
ワクチンの接種も3回目が必要だと思いますが、今後どういうスパンで打つことになっていくでしょうか?
山口先生「そこは今、世界中で研究されていますね。インフルエンザのように年1回でいいのか、それとも2回なのかなど、今後データが揃ってくると基準が決まってくると思います」
こちらは長崎大が出したシミュレーションです。おそらく11月の下旬ごろに次の波がやってくるのではないかという予測が出ています。

山口先生「これはある仮定を置いたときに、このような流行になるという式を可視化したものなので予測ではないんです。伝え方が重要ですが、今言えることは、谷が低ければ低いほど次の山が低くなるということですね。今の時期にもっともっと減っていってくれると、次の山も小さくなるかなと思います」
ワクチンが進んでも次の山が来るという事は、ワクチンを接種していても感染してしまうということだと思いますので、引き続き感染対策を一人一人が注意していかなければなりませんね。
先生ありがとうございました。