口腔がん
2019年07月13日
[過去の放送内容]
今回、口腔がんについてお話を伺ったのは、九州大学大学院 歯学研究院長の中村 誠司(なかむら せいじ)先生です。
■口腔がんとは
口腔がんとは、口の中の歯以外にできるがんのことです。日本人では舌にできる舌がんが最も多く、口腔がん全体のおよそ40%を占めています。
他にも上下の歯肉、口の底、頬の内側の粘膜組織、口の上部などに発症します。
■口腔がんの原因
口腔がんの一番の原因はたばこといわれています。
たばこの中には多くの発がん物質が含まれていて、たばこを吸うと口の中の粘膜組織に発がん物質が直接触れるので、がんが発生しやすいとされます。
また虫歯を放置して歯が尖る、被せ物が合わないといったことも誘発因子になるといわれています。
ただ、虫歯そのものががんになることはありません。
■口腔がんの症状
口腔がんは初期では自覚症状はほとんどありませんが、ある程度進行すると痛みを感じたり、食事がとりにくくなったりします。
その他にも、口を開けづらくなったり喋りにくくなったりして、日常生活に支障が生じます。
■口腔がんの特徴
がんの多くは体の中にできるため、自分の目で見ることはできませんが、口腔がんは自分の目で見ることができる数少ないがんです。
中でも日本人に一番多い舌がんは、人によっては発症前に特徴的な変化が見られます。
多くのがんは発症前に“前がん状態”と呼ばれる状態がありますが、舌がんで一番多い前がん状態が、白板症・紅板症と呼ばれる病態です。
この病変に気がつけば、がん化する前や早期に治療を行うことができるかもしれません。
■口腔がんの治療
口腔がんの治療はその部分を切除することが基本です。
がんになる前に切除するのと、なってから切除するのでは取り方やその後の障害が異なります。
日頃から自分の口の中を観察して、何らかの変化があればすぐに歯科医や口腔がんの専門医に相談することが大事です。