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毎週土曜 午前10:00~

放送内容

いびき

2019年11月09日

[過去の放送内容]

今回、いびきについてお話を伺ったのは、さわやま内科・総合診療クリニック 院長の澤山泰典(さわやま やすのり)先生です。

■いびきとは

いびきとは睡眠中の呼吸に伴う雑音のことで、さまざまな原因で狭くなった喉を空気が通る時に発生します。
睡眠中は全身の筋肉が緩むので、舌を含む 喉の周りの筋肉も緩みますが、
体を横たえた状態では重力で舌が落ち込んで、空気の通り道である気道が狭くなることがあります。
そこに呼吸によって空気が通ると空気の流れが乱れて、喉の周囲の組織が振動して音が発生します。


■気道が狭くなる原因

睡眠中に気道が狭くなる主な原因は鼻づまりによる口呼吸や加齢による喉の筋肉の衰え、
お酒や睡眠薬による喉の筋肉の緩みなどで、これらが引き金となって舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。
さらに、喉の奥にある扁桃(へんとう)や軟口蓋(なんこうがい)が大き過ぎて気道を塞いだり、
太り過ぎで喉の内部に脂肪がついて気道が狭くなったりして、いびきが誘発されることもあります。


■いびきの種類

いびきには大きく分けて、鼻いびき・喉いびきの2種類があります。鼻いびきは鼻腔が狭くなって音が鳴っている状態です。
いびきをかいている時に鼻をつまむと止まるのが特徴で、
鼻づまりによって引き起こされるため、鼻づまりを治せばいびきは改善することが多いです。
喉いびきは口呼吸の人に多く見られるのが特徴で、起きている時は鼻呼吸でも寝ている時に口呼吸になってしまう人も少なくありません。
鼻いびきは健康上の問題がほとんどないのに対して、喉いびきの中には健康に悪影響を及ぼすどころか命に関わる場合もあるので注意が必要です。


■喉いびきの影響

喉いびきがひどくなると気道が狭くなり過ぎて呼吸が止まったり、
止まりかけたりするような状態を何度も繰り返して呼吸障害のようになってしまいます。
医学的には気道の空気の流れが10秒以上停止することを無呼吸とみなし、
無呼吸が一晩に30回以上、または1時間に5回以上あれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。


■睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は寿命にも関係するとされ、重症になると死亡率をおよそ4倍に引き上げるといわれています。
睡眠中に繰り返し呼吸が停止すると体内の酸素が減ります。
すると酸素不足を補うために心拍数が上昇し、脳も体も断続的に覚醒した状態になります。
そのため、夜中に何度も目が覚めたり、寝汗をかいたり、起きた時に口が渇いたり、
頭痛がしたり、体が重く熟睡感がないといった自覚症状を認めます。
さらに日中は強い眠気とともに倦怠感がひどく、集中力が続かないといった症状があらわれます。


■睡眠時無呼吸症候群のリスク

睡眠時無呼吸症候群はさまざまな生活習慣病を招くことが分かっていて、
たびたび繰り返す低酸素状態と、睡眠の中断による交感神経の高ぶりが大きく関わっていると考えられています。
例えば高血圧の発症リスクは健康な人のおよそ3倍になるという報告があり、
特に薬で血圧をコントロールできない治療抵抗性高血圧が高い確率で合併することが分かっています。
さらに睡眠時無呼吸症候群の患者は健康な人と比べて糖尿病はおよそ2倍、
脳卒中はおよそ3倍、不整脈はおよそ4倍も発症リスクが高いことが明らかになっています。


■いびきの治療

いびきの治療は、鼻づまりが原因の場合は鼻の通りを良くする点鼻薬や鼻粘膜をレーザーで焼く手術、
扁桃の肥大が原因の場合は扁桃を切除する手術で改善する場合があります。
また太っている人は食事療法や運動療法で減量して、
寝る前にアルコールや睡眠薬を飲んでいる人はそれらをやめることで、いびきがなくなることがあります。
これらの治療で十分な効果が得られず中等度以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、
鼻に装着したマスクから空気を送り続けて、気道を開いた状態に保つCPAP療法が効果的です。
いびきがなくなるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが3分の1以下に抑えられることが分かっています。

過去の放送内容