コロナ対策 足腰の衰え
2020年05月23日
[過去の放送内容]
■概要
まだまだ油断大敵な新型コロナウイルス。そして感染拡大防止のために求められている外出の自粛。
自宅での生活を余儀なくされていることでの運動不足によって、足腰の衰えが進む人が増えています。
今回、足腰の衰えについてお話を伺ったのは、福岡赤十字病院 整形外科 部長の伊藤 康正(いとう やすまさ)先生です。
■外出自粛での足腰への影響
長期間の外出自粛で運動不足が進んで足腰の筋力や柔軟性が落ちると筋肉は傷つきやすくなります。
また、長い時間に渡って同じ姿勢でいると同じ部分の筋肉の緊張状態が続いて、
体のさまざまな部分に痛みや張り、コリといった不具合が起きやすくなります。
■ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドロームとは、加齢によって足腰が衰えて歩行に障害が起こる状態で、通称“ロコモ”といいます。
ロコモが進んで筋力が弱くなるとちょっとしたことで転びやすくなります。
転倒によって骨折が起きると寝たきりにつながる場合もあるので注意が必要となります。
また、若い人でも体を動かさないことで足腰の筋力は落ちていきます。
現在のような状況では年代を問わず運動不足に要注意です。
■腰痛にも注意
長い時間のテレワークなど、同じ姿勢になりがちな状況で気を付けたいのが腰痛です。
座りっぱなしによる腰への負担や、腰の筋肉の衰えから起こるものが多いとされています。
■全身疾患にも注意
足腰の衰えからくる全身疾患としてはエコノミークラス症候群が非常に重要です。
足を動かさないことによって足の血流が滞り、足の静脈内に血栓(血の塊)ができます。
この血栓が血流に乗って移動して、最終的に肺の血管を詰まらせるというものです。
もともとは飛行機のエコノミークラスの乗客に起こりやすいということでついた病名ですが、
足を動かさない状況が続くと自宅内でも起こる可能性があります。
■エコノミークラス症候群の予防・対策
私は自分の患者さんには、例えば家では立ってテレビを観るようにと言っています。
さらに立った状態で足踏みをすると歩くのと同じことになります。
テレワーク中でも30分に一度は立って背伸びや足踏みといった運動は可能なので、
同じ姿勢にならない、体を動かすということが非常に大事です。