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放送内容

コロナ最前線

2020年10月17日

[過去の放送内容]

今回、コロナ最前線についてお話を伺ったのは、久留米大学医学部 免疫学講座 主任教授の溝口 充志(みぞぐち あつし)先生です。

■新型コロナウイルスとは

新型コロナウイルスは免疫の立場からいうと“弱いウイルス”、季節性インフルエンザよりも弱いと思います。
免疫は私たちの体内に侵入してきたウイルスを体の外に追い払う働きをしていて、
大きく自然免疫と獲得免疫の2つがあります。自然免疫は外敵が侵入すると即座に出動して攻撃を始めます。
しかし自然免疫だけで排除できないときには、より高い攻撃力を持つ獲得免疫が援軍として参戦します。
ところが、高齢者にはその獲得免疫が少ないこと。
さらに、感染した高齢者のおよそ4割が無症状で、最初に出動する自然免疫だけで排除できていることから、
新型コロナウイルスは強いウイルスではないと考えられます。


■新型コロナウイルスの特徴

新型コロナウイルスは弱いのですが実は“テロ行為”をしてきます。そのテロ行為というのが“血栓症”です。
血栓症とは血液中に血の塊“血栓”ができて詰まるもので、さまざまな疾患の発症要因となります。


■そのメカニズム

ウイルスは通常、自由に体の中には入って来られません。必ず自分に合った「鍵穴」を探してきます。
新型コロナウイルスは“アンギオテンシン変換酵素2”と呼ばれる酵素を鍵穴にして体内に入っていきます。
この酵素は血圧のコントロールをしていますが、もうひとつ大きな役割を担います。
血を固めるのは血小板という細胞ですが、アンギオテンシン変換酵素2はこの血小板が集まらないようにしてくれています。
なのでアンギオテンシン変換酵素2に新型コロナウイルスが引っ付くと血小板が集まりやすくなって血が固まりやすくなるということになります。


■血栓症による疾患

血栓症が動脈系に起こると心筋梗塞や脳梗塞の引き金になります。
一方、血栓症が静脈系、なかでも足の静脈に起こると深部静脈血栓症の引き金になり、
それがひどくなるとその血栓が飛んで肺の血管が詰まる肺塞栓(エコノミークラス症候群)につながります。


■アンギオテンシン変換酵素2と重症肺炎との関連

アンギオテンシン変換酵素2は全身の血管の内皮細胞にも多く存在しています。
新型コロナウイルス感染で多く発症した重症の肺炎。
これはウイルスが肺の血管の内皮細胞に侵入して、肺の血管に次々に血栓症が起こったことが原因ではとも考えられています。
感染後に必ず血栓症が起こるわけではありませんが、高血圧や動脈硬化を指摘されている人、
肥満の人などはそれだけでも血栓を作りやすいとされているので感染対策がより大事です。


■今後の中点

感染していても無症状の事が少なくない新型コロナウイルス。うつさないために、まずはマスクの着用が大事です。
季節性インフルエンザは上咽頭(鼻の奥)に住みつきますが、新型コロナウイルスは口の中にも住みついて、つばの中に非常に残ります。
なので飛沫を飛ばさないという意味でマスクの着用は大事です。
もうひとつ、実は新型コロナウイルスは腸管に感染して糞便にも出てきます。
新型コロナウイルスに感染した人が公衆トイレを使った後にウイルスが便器の壁に付いていることが考えられます。
そのトイレを次の人が使用して水を流したときにウイルスが舞い上がってそれを吸う可能性があります。
なので水を流すときは、必ずふたをするようにしましょう。

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