コロナうつ
2021年04月03日
[過去の放送内容]
今回、コロナうつについてお話を伺ったのは、福岡大学病院 精神神経科 主任教授の川嵜 弘詔(かわさき ひろあき)先生です。
■コロナうつとは
コロナうつとは、コロナに対する不安や自粛による生活様式の変化などによって起こるうつ状態のことです。
■コロナうつの特徴
コロナうつは、うつ病の一歩手前の状態と考えられていますが、症状は比較的軽く、治療の必要もありません。
その一方で、一般的なうつは自分でも早い段階で症状に気が付くとされているのに対して、コロナうつは自分では気が付きにくいとされています。
■その理由
私たちは今、コロナという共通のストレスに長い間さらされていますが、それにかなり慣れてきて、あまりストレスだと思わない状況になっていると思います。
今は、体は疲れている、孤立している、コミュニケーションは無くなるということで、いわゆる“サイレントうつ”という状態になって、
うつに気付きにくくなっている状態だと思われます。
■今後の懸念
筑波大学が去年行った調査によると、新型コロナによってストレスを感じたと回答した人が実に8割に上ったことが分かりました。
その結果から、コロナに由来するストレスが溜まることでうつ病を発症する人が、今後もっと増えるのではないかと考えられています。
■うつ状態とは?
うつ状態とは、ひとつは憂うつな気分になること、もうひとつは外に対して興味や関心が薄れてしまうことです。
■コロナうつの経過
コロナうつは、原因となる不安要素が少なければ2~3日で症状は軽くなるとされています。
しかし、感染の心配や経済面での不安、自粛生活によるストレスといったように要素がいくつも重なると、人によっては重症化することもあります。
■うつ状態の目安
最近、コロナが原因で物事にほとんど興味がない・楽しめない。気分が落ち込む。絶望的な気持ちになる。疲労感が治まらない。
こういった症状がほぼ1日中、2週間以上続いていれば、コロナうつから うつ病に進行している可能性が高いと考えられます。
■うつの予防法
コロナうつを予防するのに最も重要なことは生活習慣を規則正しくすることです。
正しい生活習慣がすでに出来上がっている人は、それをできるだけ守るのが非常に重要です。
また、本を読んだりテレビや映画を見たりすることも脳への適度な良い刺激となって、コロナうつの予防に有効です。
さらに、親しい人と話すことは孤独感を和らげ、気分の落ち込みを抑えることにつながります。
■運動
コロナうつ対策として食事、睡眠、外からの刺激が非常に大事だと思いますが、外からの刺激の中では「運動」が大きなキーワードになると思います。
運動が心身に良い影響を与えるのは明らかで、少しの運動でもいいので毎日続けることが大事です。