アルコール依存症
2021年12月11日
[過去の放送内容]
今回、アルコール依存症についてお話を伺ったのは、雁の巣病院 理事長・院長の熊谷 雅之(くまがい まさゆき)先生です。
■アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、お酒を自分でコントロールできなくなる病気です。
アルコールに依存してしまうと、自分でお酒をやめることがなかなかできません。
また、お酒をやめると手が震える、非常に汗をかく。ひどい場合には、けいれんや幻覚、妄想が起こることがあります。
さらに、肝臓など全身の臓器はもちろん、脳の組織もダメージを受け、認知症の発症リスクが上がるともされています。
■アルコール依存症での問題
アルコール依存度になると、円滑なコミュニケーションが取れなくなることがあります。
さらに、飲酒運転などを起こして、周りの人からの信頼を失う可能性もあります。
■コロナ禍との関連
長引くコロナ禍もアルコール依存症の発症に影響を与えているとされています。
家飲みをする人が増え、誰も注意しない・終電を気にしなくてもいい、などから、自身で飲酒量をコントロールできなくなります。
そういう意味で「コロナが影響するアルコール依存症」は増えているのではないかと考えられています。
■アルコール依存症の治療
アルコール依存症の治療では、まず、この病気のことをよく知るために本人や、家族など周りの人へカウンセリングが行われます。
また、これまでは治療について、国内ではずっと「断酒」しかないと言われてきました。
しかし昨今、治療のガイドラインが変わり「減酒」が考えられています。
薬物療法としては、お酒をおいしく感じなくなる薬が使われることもあり、減酒や断酒、薬物治療などが組み合わされて、症状の改善が進められます。
■周囲の理解や対応
アルコール依存症は、自分ではなかなか気づかない病気です。
そこで、家族など周りの人が良かれと思ってお酒を取り上げたり、隠したり、やめろと怒ったりするのですが、
それらによって悪い方向に向かっていることも多いので、周りの人もアルコール依存症に対する正しい知識や対応を知ることが非常に大事です。
■予防や改善
アルコール依存症の予防や改善に重要なのが、お酒の飲み方を自分でコントロールすることです。
具体的には、お酒を全く飲まない「休肝日」を、最低でも週2日設けることが大事です。
また、いろいろな項目に答えて、自分のアルコールについての問題の有無を知ることができるチェックリストがあります。
「アルコール依存症 チェックリスト」で検索すると該当するページが出てくるので、
自分の飲酒は大丈夫かなと思ったら、一度、検索してみてはいかがでしょうか。