脳卒中のリハビリテーション診療
2022年09月17日
[過去の放送内容]
今回、脳卒中のリハビリテーション診療についてお話を伺ったのは、
福岡みらい病院 副院長の髙橋真紀 (たかはし まさのり)先生です。
■脳卒中のリハビリテーション診療とは
脳卒中とは、脳の血管が破れたり、詰まったりすることで脳の細胞が壊死し、
さまざまな症状を引き起こす病気です。
急速に高齢化が進んでいる日本では、患者数はさらに増加すると考えられ、
脳卒中のリハビリテーションの必要性が高まっています。
■脳卒中について
脳卒中の代表的なものは、脳の血管が詰まる脳梗塞と、
脳の血管が破れる脳内出血・くも膜下出血です。
発症要因は、高血圧や糖尿病、肥満や脂質異常症、不整脈や喫煙など多彩で、
その多くが、日ごろの生活習慣と深く関係しています。
脳卒中は、寝たきりの原因のおよそ3割を占めていると言われています。
また症状は、言葉が出にくくなる失語症、
片方の手足が動かしにくくなる片まひ、飲み込みが悪くなる嚥下(えんげ)障害、
記憶や注意力などが低下する高次脳機能障害などさまざまです。
■脳卒中のリハビリテーション診療の段階
脳卒中に対してのリハビリテーションは、発症直後の「急性期」、
急性期を脱したあとの「回復期」、
その後、自宅や施設で生活をする「生活期」に分けられます。
脳卒中のリハビリテーション診療では、
患者さんの機能障害による家庭や社会生活での問題点を診察して、
身体機能の回復や社会復帰を目指します。
■急性期
急性期では、脳卒中の急性期治療を行いながら、
同時にできるだけ早い時期からリハビリテーション治療を開始します。
まだ全身状態が不安定なため、
脳卒中の再発や合併症の発症などのリスク管理をしながら行います。
■回復期
回復期は、急性期を脱した後の半年ほどの期間で、
患者さんの病状などから回復の程度を予測します。
そして退院までの道筋を決めて、
通常では、回復期リハビリテーション病棟で集中的に行われます。
その際には、リハビリテーション科医や看護師、理学療法士、
作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、
管理栄養士といった専門スタッフがチームを組んであたります。
■生活期
生活期は、回復期での治療後に自宅や施設で生活する段階で、
生活環境に合わせて自立した生活が送れるようにリハビリテーションを続けます。
最近は、脳神経刺激治療などにより、
生活期でも機能の回復が得られることが分かってきていて、
当院では、手や腕の機能回復を目的に、
反復経頭蓋磁気刺激治療や経頭蓋直流電気刺激治療を行っています。