不眠症
2022年11月19日
[過去の放送内容]
今回、不眠症についてお話を伺ったのは、
久留米大学病院 精神神経科 主任教授の
小曽根 基裕 (おぞね もとひろ)先生です。
■不眠症とは
不眠症には3つの定義があります。
・寝つきが悪い、途中で起きる。
・寝る時間や寝室の環境に問題がないのに寝つきが悪い、途中で起きる。
・夜寝れないために日中眠い、頭が働かないなど、心身に影響が出る。
この3つが揃ったら不眠症と診断されます。
■不眠症の原因
不眠症の原因は大きく5つあります。
・発熱や体の痛みによって眠れないといった、“身体的なもの”。
・夜勤や交代勤務などで時間が不規則、
海外旅行による時差ぼけなどで眠れないといった、“生理的なもの”。
・強いストレスがかかり、
夜そのことを考えてしまって眠れないといった、“心理的なもの”。
・うつ病になって眠れないといった、“精神疾患によるもの”。
・病気の治療で服用した薬、お酒やたばこなどの影響による、
“薬理学的なもの”です。
■平均睡眠時間
平均睡眠時間を年代別に見ると、10代では8時間以上、
25歳で7時間、45歳で6.5時間、60歳で6時間と、
年齢とともに減っていくのが分かります。
私たちの体は、寝ている間にその日 使った体力を回復しています。
しかし、年齢とともに日中の活動時間や運動量は減る傾向にあるため、
体力を回復させるための睡眠時間も少なくて済むようになります。
■不眠症の症状
不眠症の症状には、寝付きが悪い、夜中に起きる、
朝早く目覚める、寝た気がしないといったものがあります。
不眠の状態が続くと、心身が十分に休息できないことで、
倦怠感や集中力低下、抑うつや頭痛など、さまざまな症状が起こり、
生活の質の低下につながります。
■不眠症の治療
不眠の治療は、薬物療法と非薬物療法があります。
非薬物療法のひとつとして「認知行動療法」があります。
これは、自身の睡眠の状態について見直し、
眠れない時の振る舞いを改善するというものです。
まずは、睡眠時間は年齢とともに減っていくことなど、
睡眠についての正しい知識を学びます。
そして、専門医などの指導のもとで「睡眠日誌」をつけます。
何時に寝るか、すぐに寝付けるか、夜中に目が覚めるか、
希望より早く目が覚めるかなど、
自分の睡眠についての情報を記録していきます。
睡眠日誌にある程度記録できたら、今度はどう対処するかを検討します。
例えば、布団に入ってもなかなか寝つけなければ無理に寝ようとせず、
本を読んだり、音楽を聴くなどリラックスして、
次第に眠気が来るのを待とう、といった感じです。
■まとめ
最近は、睡眠についての情報が過多になっている一方で、
正しい睡眠の知識はあまり知られていません。
自分の睡眠時間は何時間が適当なのかを知ることは大事です。
それでも不眠でお悩みの場合は、
近くの心療内科や精神科の先生に相談ください。