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毎週土曜 午前10:00~

放送内容

男性不妊症

2024年09月07日

[過去の放送内容]

今回、男性不妊症についてお話を伺ったのは、
銀座リプロ外科医師・東邦大学医学部 泌尿器科学講座 教授の
永尾 光一 (ながお こういち) 先生です。

■不妊症とは

不妊症とは、妊活を続けているにも関わらず、
子どもを1年間授からない状態のことです。
WHOの報告では、不妊の原因は女性が65%、
男性が48%となっています (※男女両方24%をそれぞれ含みます)。
不妊症は男性に原因があることも決して珍しくありません。


■男性不妊症の原因

男性不妊症の原因には、
精巣の上にある管(くだ)に細菌が感染して炎症を起こす、
精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)や、EDなどがありますが、
男性不妊症の原因のおよそ40%を占めるのが、
精索静脈瘤(せいさく じょうみゃくりゅう)です。
これは、精巣から心臓へ戻る血液が逆流して、
精索静脈がこぶのように拡張した状態です。


■精索と精索静脈瘤

精索とは、精子の通り道である精管や血管、
神経やリンパ管などが束になったものです。
それらの中で、精巣から心臓へと血液を戻す血管が精索静脈です。
血液は重力に逆らって心臓へ戻るので、
精索静脈の内側には逆流を防ぐための弁があります。
ところが、この弁が上手く働かなくなると血液が逆流して、
こぶのように大きくなってしまいます。これが精索静脈瘤です。


■精索静脈瘤による影響

精巣は体温より2~3℃低い状態で機能します。
しかし、精索静脈瘤があると血流が悪くなることで、
精巣内の温度が2~3℃上昇します。
すると、精巣内で精子を作る働きが落ちて、
元気に動いている精子の数が少なくなって、男性不妊症の要因となります。


■精索静脈瘤の検査

精索静脈瘤の検査は、問診や視診、触診を行った後、
超音波検査を行って画像で状態を確認します。
精索静脈瘤の重症度は、大きく3段階に分かれます。
軽度は、お腹に力を入れると患部を触ることができる状態。
中等度は、触診で簡単に患部を確認できる状態。
重症は、見ただけで患部を確認できる状態です。
これらの内、中等度と重症の場合で手術が検討されます。


■精索静脈瘤の治療

精索静脈瘤の治療は手術になります。
血液が逆流して精巣の周りに鬱血するので、その逆流静脈を止めます。
逆流静脈に大事な精管や血管、リンパ管、神経が張り付いているので、
1本1本丁寧に分離して、逆流静脈だけを確実に止めます。
大事なものを完全に残し、
逆流静脈を全て止めれば合併症や再発は起こりません。


■まとめ

私どもで男女1055人を対象に行った調査では、
その中の半分が、男性にも不妊の原因があることを知っていました。
ところが、精索静脈瘤など男性不妊症の原因となる病気については、
8割の人が知らないという回答でした。
男性不妊の1番の原因となる精索静脈瘤を見つけて、
きちんとした治療を行えば、90%近くで精液が改善し、
精子や受精卵の質も改善し自然妊娠率も上がります。
早く妊娠したいカップルには、
10分で調べることができる精索静脈瘤の超音波検査をお勧めします。

過去の放送内容