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放送内容

痔ろう

2018年03月24日

[過去の放送内容]

今回、痔ろうについてお話を伺ったのは、
福田肛門外科医院 院長の福田寛蔵(ふくだ かんぞう)先生です。

■痔ろうとは

痔ろうはお尻に膿の管ができて化膿をくり返す病気で、
慢性的な下痢などが原因に考えられています。
下痢になりやすい男性に多く見られますが、
女性の発症も少なくはありません。
痔ろうになると、お尻にしこりができたり、激しい痛みが続いたり、
お尻から膿が出て下着を汚したりすることがあります。
膿が出るといったん腫れや痛みといった症状はなくなります。
その後、膿が出た傷口がふさがって治ったかと思っていると
また同じ所に膿がたまって破れたり、
他の所から膿が出たりということを繰り返すのが特徴です。
きちんと治療しないと原則的には完治しません。


■痔ろうになる仕組み

お尻の皮膚は肛門から体内へと続き、

歯状線(しじょうせん)を境に粘膜へと変わります。
痔ろうはこの歯状線にある肛門陰窩(こうもんいんか)に便が入り込むことで起こります。
肛門陰窩は深さ1ミリ程度の小さなくぼみで、
普段は便が入ることはありませんが、
下痢をくり返していると入りやすくなります。
そして肛門陰窩の奥にある肛門腺と呼ばれる粘液の出口付近に傷があったり、
疲れて体の抵抗力が弱ったりしていると
便の中の細菌に感染して化膿してしまうことがあります。
こうして肛門の周囲に膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)と言います。
肛門周囲膿瘍になると化膿によるズキズキとした痛みや腫れ、
39℃前後の高い発熱を伴いますが、
放っておくと膿が皮膚の外に排出されて症状が楽になります。
こうして肛門の内側と外側をつなぐ管ができた状態が痔ろうです。
痔ろうの管は自然消滅することはないので、
治療しない限り何度も細菌感染を起こして痛みや腫れをくり返したり
頻繁に膿が流れ出たりするようになります。


■痔ろうの注意点

痔ろうは薬では治せないので、
市販の鎮痛剤などで痛みをごまかしたりせず、
早めに専門医を受診して下さい。
肛門周囲膿の段階なら切開して膿を出すだけで、
いったんは症状が治まって、まれにそのまま完治することもあります。
受診するまでの応急処置として患部を冷やすことが大切です。
入浴するなどして温めると一時的に痛みは和らぎますが、
後からかえって化膿を悪化させてしまうことになります。
また下痢は痔ろうの原因となり、
症状の悪化も招くので過度の飲酒や暴飲暴食を避け、
下痢をしないように注意することが大事です。


■痔ろうの治療①

痔ろうはたとえ軽症でも完治させるには必ず手術が必要となります。
お尻にできた管の入口と出口がはっきりと分かる場合は、
管にゴム糸を通して縛る「シートン法」で治療できます。
これはゴム糸を異物とみなして
体から排除しようとする治癒力を利用する方法で、
徐々に組織が修復されるのを待ちます。
ゴム糸が自然に取れると治療は完了で入院の必要はありません。
ただ、ゴム糸を数週間毎に縛り直さないといけないために定期的な通院が必要で、
完治までに数ヵ月から1年以上かかることもあります。


■痔ろうの治療②

痔ろうを再発させることなく
速やかにしっかりと完治させるためには、
病気の元となる膿の管を取り除くのが確実です。
肛門後方の皮膚から浅い所にある痔ろうの場合は
膿の管を切り開いて、
入口から出口まで切除する切開開放術を行うことが多いです。
肛門後方以外にある場合は
肛門括約筋のダメージをなるべく少なくして、
肛門の絞まりに影響がないように膿の管を入口から出口までくり抜く「括約筋温存術」を行います。
痔ろうは治療しなくてもたまった膿が自然に排出されればいったん症状が治まるので、
なかなか病院を受診しない人もいますが、
長年放置すればまれに、がん化することもあるので、
お尻から膿が出るような症状があれば早めに専門医を受診することが大切です。

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