舌下免疫療法
2023年10月07日
[過去の放送内容]
今回、舌下免疫療法についてお話を伺ったのは、
国立病院機構 福岡病院 耳鼻咽喉科 科長の
押川千恵 (おしかわ ちえ) 先生です。
■舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは、
体にアレルゲン(アレルギーの原因物質)を少しずつ体に入れて、
アレルゲンに徐々に体を慣らす治療法です。
根本的な体質改善につながると言われていて、
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状緩和が期待されます。
■免疫とは
免疫とは、異物から体を守る防御システムで、抗体が異物を体の外に排除します。
そして花粉症は、花粉を異物と判断し、
抗体が花粉をくしゃみ、鼻水として排除することで起こる症状です。
■舌下免疫療法の手順
舌下免疫療法では、治療薬を1日1回、舌の裏に1分間置いて、
アレルゲンを少しずつ体の中に入れていきます。
初回後は自宅で治療が可能ですが、
薬を処方してもらうために、月1回程度の通院が必要です。
■治療の対象となる疾患
舌下免疫療法で治療できる疾患は、
ダニなどで1年中、アレルギー症状が出る通年性のアレルギー性鼻炎と、
スギの花粉が原因で起こるスギ花粉症の2つです。
また、スギ花粉症に対して舌下免疫療法を行うことで、
ヒノキ花粉症も改善する場合があります。
■スギ花粉症の治療上の注意点
舌下免疫療法は、治療を始めて効果が出るまで数カ月を要するので、
来年の花粉シーズン対策のためには、
今の時期から始める必要があります。
新規に開始する場合は、6~10月に始めるのが推奨されます。
いつまで続けるかは人それぞれですが、目安は3~5年です。
治療を中断した後に、また症状が出たら再開も可能なので、
その場合は主治医に相談してください。
また、舌下免疫療法は、花粉シーズン中に始めることはできません。
副作用として、口のかゆみが強く出る、
花粉症の症状が悪化するといったケースがあります。
■治療を受けられないケース
舌下免疫療法は、重症の気管支喘息があると、
喘息に悪影響を及ぼすことがあるので、治療を受けることができません。
また妊娠中や授乳中も、
安全性についてまだしっかり確立されていないので控えていただきます。
■まとめ
舌下免疫療法は正しいやり方で毎日行えば、安全に体質改善ができる方法です。
毎日継続することが大事なので、コツコツ頑張っていただければと思います。