再発掘
2025年11月29日
[熊本県]
五足の靴(5)

明治40年、与謝野寛とまだ無名だった若き詩人たちが九州を旅した紀行文「五足の靴」。長く埋もれていたこの作品に光を当てたのは、九州出身の文学者でした。
東京二六新聞に掲載された「五足の靴」ですが、書き手の名前は明らかにされず「五人づれ」とだけ記されていました。更に作中で登場する際も、すべてイニシャルで表記されたため、錚々たるメンバーの作品でありながら長く埋もれていたのです。
北原白秋生家・記念館 髙田杏子館長
「小郡市出身の詩人でもある野田宇太郎がそれを見つけ発掘するんです。」
福岡県小郡市出身の野田宇太郎。昭和初期から詩人として活動する一方、文学にまつわるゆかりの地を探訪する「文学散歩」という分野を確立したパイオニアでもありました。
彼は五人づれのひとり木下杢太郎に傾倒し掘り下げていく中で、「五足の靴」の存在を知り、光を当てていったのです。
昭和43年に白秋の生家が取り壊しの危機を迎えた際には、復元作業にも深く携わるなど「五足の靴」との不思議な縁を感じさせます。
北原白秋生家・記念館 髙田杏子館長
「五足の靴の認知と生家という文学的な遺産が失われなかったのは、この野田宇太郎さんの力なんだろうなと思います。」
今年は白秋生誕140年。この節目に九州の風土で生まれた名作の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。