図鑑に込めたプライド
2025年02月08日
[長崎県]
百菓之図(2)

今から200年前、平戸で作られたお菓子の図鑑「百菓之図」。
それは、「お菓子の島」のお殿様のプライドが生んだ傑作でした。
16世紀から南蛮貿易の拠点として栄えた長崎県平戸市。
砂糖が持ち込まれた平戸は砂糖菓子の文化が育まれ、「お菓子の島」と称されるようになったのです。この平戸で育まれた菓子文化を繁栄の好機と捉えたお殿様が、平戸藩第10代藩主・松浦熈(まつら・ひろむ)です。
「百菓之図」には、和菓子をはじめ海外の影響を受けた100のお菓子が描かれレシピも記されています。
松浦史料博物館 岡山芳治館長
「江戸時代後期になると、江戸菓子、京菓子、長崎菓子などの有名な菓子は出てくるが、平戸菓子という言葉が、なかなか出てこない。松浦熈は悔しい思いがあったのか、百菓之図という形で、後世に伝えるための一つの資料としてまとめたと考えられています。」
「日本の菓子文化は平戸から始まったもの」。
「百菓乃図」には、お菓子の島のお殿様だった熈公のプライドが込められているのかもしれません。実は煕公は、平戸の菓子職人にオリジナルの菓子を作らせていました。それは門外不出の秘蔵のお菓子だったのです。