人生を変えた教え
2025年12月20日
[福岡県]
興志塾(3)

明治の初め、男装の女武士・高場乱が開いた興志塾には志士としての義を身につけた若者たちがいました。
「興志塾」の塾生、頭山満(とうやま みつる)。
福岡藩士族の家に生まれた彼は、困窮する世の人々を助ける正義の人になりたいと思っていました。
頭山は、薩摩と長州が権力を握る政府に反抗的だったため、大久保利通暗殺の疑いで、西南戦争終結まで、山口の牢獄に放り込まれます。

高場乱の子孫にあたる、安部泰宏さんによると―
「塾生がみんな反乱を起こしたり色々して刑務所に入った。だから福岡は明治維新が出遅れた。」

釈放された頭山に、乱は諭します。
「刀で世は変えられぬ。心と理で動かすのだ。」
頭山らは、自立した組織づくりを模索し、国民の声を反映させるため、自由民権運動団体・玄洋社を立ち上げたのです。
のちに玄洋社は、欧米の植民地支配に苦しむアジアの志士たちの拠り所となったのです。
「武力で世の中は変わらん!
志を持った人間の言葉と行動で動かすのだ!」
高場乱が「興志塾」の塾生たちに説いた仁と義。
ところが、その教えから抑えきれない義憤を行動に移した塾生がいました。