レディー・ガガの演技は圧巻、スクリーンで見る価値あり! 映画『ハウス・オブ・グッチ』
2022年01月11日
[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]
※この作品の詳しい情報はこちらまで→https://house-of-gucci.jp/
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ひとことで言うと「土曜ワイド劇場・グッチ家の崩壊!」だ。
しかし「土ワイ」以上ある上映時間は『エイリアン(1979)』『ブレードランナー(1982)』『ブラック・レイン(1989)』『グラディエーター(1982)』といった名作でおなじみのアカデミー賞監督リドリー・スコットの手腕によって、アッという間に過ぎ去る。構成・演出・場面転換から登場人物のキャラクターまで完璧なのだ。
冒頭に「実話に基づく物語」と掲げ、1995年に世界的ブランド“GUCCI”ファミリー内部で起きた“事件”を描くから、案の定アル・パチーノが演じた人物の相続人から抗議声明が出された(イタリアの通信社ANSAによる)。しかし、彼らの名誉が棄損されることは一切ない。
なぜなら、この作品は「GUCCI家のスキャンダルを白日の下に晒(さら)す」のではなく「権力欲や嫉妬などの人間の性(さが)」という“シェークスピア作品”に通じる普遍的なテーマを扱っているからだ。
自分がこの作品を高く評価した理由は二つある。
第一に、『ゴッドファーザー』のアル・パチーノと『スーサイド・スクワッド』のジャレッド・レトという二人の名優に、あたかも狂言回しのような親子役をあてて、物語のスパイスにしているのだ。
特に、ジャレット・レトは6時間かけた特殊メイクでおどろくべき風貌に変身し、監督がリドリー・スコットでなければ「オレを馬鹿にするな!」と怒られるレベル。シーンによっては“親子漫才”のギャグに見えなくもなかった。
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二番目は、舞台となった時代のヒット曲をちりばめた点だ。ドナ・サマー、ジョージ・マイケル、ユーリズミックス、ブロンディ、デビッド・ボウイ…メロディがすぐに浮かぶ名曲が登場する。
通常ならば時代背景を説明するBGM程度のところ、本作では音楽がその出来事を印象付ける重要な“共演者”扱いで、それらのシーンでは主役ですらセリフを発せず、MTVのプロモーション・ビデオのような“独立した作品”に仕上がっているのだ。
リドリー・スコット監督が最初に立ち上げたのがコマーシャル・フィルム(CF)の制作会社で、手がけたCFの本数は1.900本以上にのぼる…と聞いて納得するシーンの連続だ。
“GUCCI”のブランド名を聞いたことがない人はいないし、ほとんどの日本人が何らかのデザインを思い描くだろう。
そこに触れるエピソードが二か所登場するが、いずれも“80年代にあったあった!”と思わせるもので“なあ、そうだったろ!”とほくそ笑むリドリー・スコット監督の顔が見えるようだった。
ことほど左様にバブル期の日本と“GUCCI”との関係は深かったし、原作(サラ・ゲイ・フォーデン 著)が発表されてから20年近くの時間をかけて構想が練られたことに加え、主役のレディー・ガガとアダム・ドライバーの熱演で、日本でのヒットは確実と思える作品だった。
※この作品は1月14日(金)から、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、福岡中洲大洋ほかで全国ロードショー
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