【樽職人❶】「正直押し」原田博史さん
2026年07月05日

大正元年創業、原田製樽所(はらだせいたるじょ)。
原田博史さん(40)は2025年に4代目として、曾祖父の時代から114年変わらない技術と製法を受け継ぎました。
九州では2軒しか残っていない製樽所として、年間約3500個もの酒樽を製造しています。

伝統的な酒樽は釘を一切使わず、板同士の年輪を食い込ませて隙間をなくします。
原材料の板「榑(くれ)」には酒樽に最適といわれる吉野杉のみを使用。
材料が少ないからこそ一番良いものを使うという教えを守り、奈良県の樽丸職人が仕上げた木材を「正直押し」という作業で樽の形に変えていきます。

長崎県産の真竹を割り、竹ひごにし、円状に組んだものを箍(たが)と言います。
これが樽を結束させる唯一の部材です。
「樽は貯蔵の道具なので漏れないことが大前提です」と語る原田さん。
同じ吉野杉でも個体差がありますが、職人の勘でバランスを見極めて組み上げます。
原田さんは正直に材料と向き合うことを大切にしているといいます。

原田さんが未来に残したい風景は「佐賀市嘉瀬川の風景」。
佐賀県の秋の風物詩であり、48年の歴史がある「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」の会場です。
原田さんが子どもの頃からずっと見てきた風景であり、空に浮かぶ7色の熱気球が地元の誇りでもあるのです。
同じように今の子どもたちの記憶に残るよう、ふるさとの原風景として嘉瀬川の空が続いてほしいと原田さんは願っています。