「日本の品格」(福岡県福岡市)
2024年10月27日
1928年創業の「仲西眼鏡店」。
現在は仲西正義さんが四代目を継いでいる。
眼鏡製作においては、様々な工程を、別々の会社が受け持つ分業が一般的だが、仲西眼鏡店では、売り場の一角にガラス張りの工房を併設しており、すべて自社で製造し、フルオーダーや修理の対応も行っている。
280もの工程を経て完成する1本の眼鏡。
仲西さんは10歳の頃から、祖父にヤスリの使い方や眼鏡の修理方法を習って、その腕を磨いてきた。
眼鏡は顔の一部であり、人と向かい合うときに品があるような眼鏡を心がけ、細部にまでこだわる。
特に最後の仕上げ「磨き工程」は、その透明感が「品の良さ」に直結するため、大事な作業だという。
海外へ留学し、世界の眼鏡市場も見てきた経験の中で、「日本人が日本の眼鏡を作るとどうなるか」を常に考えている。
日本人の骨格に合う掛けやすい眼鏡はもちろん、日本という土地柄をいかした眼鏡を考えている。
日本独自の文化である、蒔絵や組子、欄間などのデザインや技法を取り入れ、「日本の品格」を芯に持ち、その完成を大事にしながら眼鏡作りに励む。
そんな仲西さんが未来に残したい風景は「福岡市大濠公園の日本庭園」。
庭園の景観と調和した茶室からのぞむ和の景色を堪能できる。
普段は福岡市の中心地である天神でメガネ作りに励んでいるため、現実から離れて一人で考える時間を求め、茶道もたしなんでいる仲西さん。
幽玄で静寂な世界で精神統一し、侘び寂びの感性を育んでいる。