未来に伝える色(福岡県田川郡香春町)
2021年04月25日
香春町の地域おこし協力隊として、3年前に移住してきた村上夕子さん。
これまでに活用されていなかった資源を使い、新しいモノづくりを行ってきた。
その内のひとつが、柿渋染め。
香春町は干し柿の元になる「渋柿」の産地だ。
しかし、これまで間引きされていた渋柿は廃棄されていた。
村上さんはそこに目を付け、「柿渋染め」を始めた。
香春町に来る前は、テキスタイルデザイナーとして活躍していた村上さん。
布を扱う仕事には高いスキルがあり、染色のアイデアは豊富にあった。
これまでの人生経験を香春町に還元する。
自分のためでもあり、町の人のためでもあることに楽しみを見出したという。
そんな村上さんが未来に残したい風景は「渋柿園」。
8月には一面に柿渋が実り、鮮やかな緑が一面に広がる。
村上さんにとって、それは宝物だ。
今年4月で香春町の地域おこし協力隊の任務を終えることになっている。
しかし、村上さんは香春町に定住することを決めた。
穏やかに流れる時間の中で、資源の有効活用を、さらに見つけていきたいという。
今、作っているのは柿渋染めのパン用バッグ。
何度も洗いなおすことが出来るので、再利用が可能で、環境にも優しい。
今期は、1000個以上を作る予定だという。
子どもたちの未来に無関心でいることは出来ない。
これからも村上さんは香春町で資源の有効活用を見出していく。
その原点ともいえる渋柿園は、村上さんの癒しの場であり
未来をしっかりと見つめる場所でもある。