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放送内容

鍛錬を積む(福岡県大牟田市) 

2022年04月03日

「日本刀は月に二振りしか作れない」。(※振りは刀の数え方)
そう話すのは、㈱四郎國光・刀匠の小宮安氣光さんだ。
江戸時代に最盛期を迎えた日本刀だが、今は美術品として扱われており、刀を作るのも文化庁の許可が必要で、数にも制限があるという。

日本刀の製作は工程が多く、一振り作るのに半年を要することもあるという。
その中でも刀の素材となる玉鋼を半溶解させて、大槌で鍛錬していく光景は、他人からみれば、まさに荒行だ。1300℃の炎の中で、男3人が黙々と鉄を叩く。
工房に響く音は鉄鐘のようで心地よいが、刀匠はそれどころではないだろう。

鉄を叩く作業を大まかに言うならば「折り返し鍛錬」というのだが、この折り返し鍛錬には、3人を要するという。
高温で赤々と光る鉄を叩く人、座って角度をつけて鉄の形を先導する人。
日本刀の製作では後者を「横座」といい、「横座」が、その刀を作る人になるという。
この日の横座は、安氣光さんだった。
その日の体調や気温、炎の温度で、まるで人間のように表情を変える刀。
横座は、それを調節する最も大切な役割なのだ。

そんな安氣光さんが未来に残したい風景は、「甘木山」だ。
甘木山の麓に工房を構えていることもあり、毎日散歩に行くという安氣光さん。
「日本刀つくりは体力が必要。だから体が資本」。
20代から続けているという甘木山の散歩は、大牟田の刀文化を繋いでいるのかもしれない。

甘木山の頂上には「甘木公園」があり、春は桜が一面に広がる。
大牟田市の人々が集う憩いの場からは、有明海や普賢岳も見える。
変わらない景色を何度見ても飽きずに、美しいと思う安氣光さん。
その気持ちがあるからこそ、伝統文化を継承できるのだろう。

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