「ぬくもりの音」(佐賀県三養基郡基山町)
2023年12月03日
「木と土と紙で創る住空間」をコンセプトに、無垢材にこだわった家づくりを手掛ける埋金木工所。
その三代目である埋金宏光さんは、本業である大工としての木工技術を活かし、「音」と「木」にこだわった一点もののオリジナルスピーカーを製作している。
建具職人の叔父が趣味でスピーカーを作っていたのがきっかけだった。
もともと学生時代、プロを目指して音楽活動をしていた宏光さんは、すぐに木製スピーカーの「音」に魅了された。
埋金さんのこだわりは、本物の「無垢材」を使うこと。
木質繊維を熱圧成型した「MDF材」という素材で作られることが多いスピーカーだが、本物の木を使うことで音の響きが変わるという。
スピーカーユニットの性能を最大限に引き出すため、木の厚みや塗装、箱の中の空気の容量など、一つ一つ計算し、掛け合わせることで、まるでそこに生きているかのような、ぬくもりのある音を再現している。
箱の中での「音の反響」や「通り道」を計算して作るスピーカーは、どこかギターやバイオリンなどの楽器作りにも似ている。
埋金さんのスピーカー製作は、建設業に関わり本物の木の魅力を伝える彼ならではの経験が生きており、「もう一度聴きたいな」と思わせる、飽きのこない音を楽しんでもらいたいと、埋金さんは語る。
そんな埋金さんが未来に残したい風景は「亀の甲池」。
基山町の由緒ある古いお寺「吉祥寺」のふもとにあるこの池は、知る人ぞ知るお花見スポットで、自然も多く、高台にあることから基山町を広く見渡すことができる。
埋金さんの祖父の実家がすぐそばで、子供の頃からよく訪れていたという「亀の甲池」。
思い出の場所としてだけでなく、考えを整理したり、リフレッシュのために今でも訪れる大切な場所だそうだ。