「笑顔とともに」(鹿児島県霧島市)
2024年01月21日

鯛車、香箱、羽子板など、12種類の信仰玩具が伝わる鹿児島県霧島市の「鹿児島神宮」。
おもちゃ神社とも呼ばれるその神社のすぐそばで、玩具を製作している「工房みやじ」は、江戸時代の頃から代々、鹿児島神宮に納めるための9種類の信仰玩具を製作しており、鹿児島県指定伝統工芸品の製作所として、4代目の花見ユリ子さんと2人の娘さんがその仕事を継いでいる。

和紙を叩く大豆の音が「ポンッパチッ」と響くことから地元では「ポンパチ」と呼ばれる「初鼓」は、鹿児島神宮の伝統行事「初午祭」で、鈴かけ馬を装飾する豆太鼓を模したものだ。
厄除けや子供の健康などの願いが込められている縁起物として、地域に根付いた郷土玩具でもある。
「ポンパチ」専用に漉いてもらった和紙を、輪にした竹にピンと張り、一つ一つ丁寧に絵付けをする。

小学生の時から、祖父や父の手伝いで玩具つくりに携わってきた花見さん。
70年経った今も、とにかく楽しくて、自分の方が製作を通して元気をもらっている気がすると語る。
1人でも多くの人が手に取ってくれて、幸せになってくれたらいいな、という思いを込めて作っている。

そんな花見さんが未来に残したい風景は「鹿児島神宮」。
朱塗りの社殿は国の重要文化財に指定されている。玩具とともに、鹿児島神宮のそばで歴史を重ねてきた花見さんにとっては、ここ以外に思いつくところがないくらい縁深い場所だ。
境内の荘厳な雰囲気や、木々の緑からの癒やしはもちろんだが、目をつぶれば祭囃子とともに、自分が作った玩具を持った子供たちで賑わう情景が浮かぶ。
