「手仕事の意義」(福岡県久留米市)
2024年02月11日
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竹かごを漆で塗り重ねて漆器に仕上げる久留米の伝統工芸品「籃胎漆器」。
籃(らん)は「竹かご」を意味する言葉で、「籃を母胎で包むように漆を塗っていく」ことから「籃胎漆器」と名付けられたという。
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井上らんたい漆器では、竹の選別から仕上げまで、全ての行程を自社で行っており、その作業内容は100年前とほとんど変わっていない。
昔は工場に入りきれないほどの職人がいて、久留米の産業を支えていたそうだが、今では職人も数えるほどになってしまった。
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しかし職人が少なくなった今でも、籃胎漆器は昔も今も美しい。
漆ならではの輝きと、幾層にも重なった色のコントラストが、見る人を美の世界へ誘う。
明治期にはアメリカの万博に出品、ヨーロッパでも取引されていたほどだ。
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そんな籃胎漆器の精神を受け継ぐ井上正道さんが、未来に残したい風景は「久留米城跡」だ。
久留米藩主・有馬家が籃胎漆器の繁栄に大きく関係しており、他にも久留米絣など久留米伝統産業の礎を築いてきた。
その感謝も込めて、井上さんは久留米城跡に立ち、そこから筑後川を眺めるそうだ。