「煌々と情緒」（福岡県八女市）
2024年07月21日
1815年八女で創業。今では九州最古となった装飾提灯製造卸商「伊藤権次郎商店」。
撮影に伺ったのは2024年7月初旬の午後1時。
工房では8代目の伊藤博紀さんが、八女提灯の伝統技法「一条螺旋式」を駆使して作業していた。
真夏日だったこともあり暑い工房内での作業だったが、伊藤さんは昔ながらの扇風機の前で、ただ黙々と骨組みにノリを塗り、和紙を被せていた。
その光景は8代続く伝統を感じさせるもので非常に趣深く、作品の息吹を感じる特別な空間だった。
伊藤さんの言葉で印象的だったのが、「提灯は、日本人が見ても日本を感じさせる」という言葉だ。
何かをとおして光を表現する提灯。
煌々と照らすわけではなく、光に日本的な情緒をもたらす。
その光を求めて、日本だけでなく海外からの観光客も訪れるそうだ。
そんな伊藤さんが未来に残したい風景は「提灯が似合う町並み」だ。
八女市本町には古民家を改築したホテル「RITA八女福島」が4棟あるのだが、提灯で照明をプロデュースしているのが伊藤さんだ。
他にも「柳川藩主立花邸 御花」で提灯を使ったイベントを開催するなど、魅力的なアクションを数多く起こしている。
やはり、面白いことを追求する人は魅力的なんだな、と感じた撮影であった。