「漆の弁当箱」（福岡県糸島市）
2024年08月25日
福岡県糸島市にある「杉の木クラフト」で、木工職人として活動する溝口伸弥さん。
九州産の杉を使って、お盆や器などの生活道具をつくっている。
その中でも高い人気を誇るのが、どこか懐かしさを感じさせる「漆の弁当箱」だ。
溝口さんの作品における最大のテーマは「杉の木を使うこと」。
日本で一番多くあるといわれる杉の木。
それを生活道具にして、日常の中で人々が使うことに、職人としてのやりがいを感じているという。
工房の下には田んぼがあり、溝口さんは毎年、自分で米を育てている。
弁当箱を作りながら、季節ごとに成長していく田んぼや稲を見ていると、心が癒やされるそうだ。
自分が作る弁当箱に自分の育てた米が入る。
それは溝口さんだけに許された行為とも言える。
そんな溝口さんが未来に残したい風景は「工房から見える田んぼと火山（ひやま）」だ。
この景色にひとめぼれして工房を構えたそうで、まるで映画のセットの中にいるような美しさだった。
秋になると一面が黄金色になることを溝口さんが教えてくれた。
ただ、撮影時の猛暑の夏でも平地より涼しく、時折吹く風が心地よかった。