「誠意の研ぎ」(福岡県大牟田市)
2024年11月17日
創業60年、福岡県大牟田市で刃物の販売と研ぎ修理を行っている「たなか刃物店」。
先代の父から教えを受け、その研ぎの技術と店を継いだ二代目の田中弘晃さんは、刃物店として生き残っていくために、オンラインでの包丁研ぎ宅配サービス「ハモット」を立ち上げ、1か月で150本以上の研ぎ修理を手掛けている。
「ハモット」という名前には「刃物を元の形(切れ味)に」「刃物をもっと大切に、身近に」という意味が込められている。
持ち込みで修理依頼に来る家庭用包丁はもちろん、園芸用や美容理容用のハサミなど、多種多様な刃物の研ぎ依頼が絶えず、地域に根づいた町の刃物屋さんとして、一本一本真心を込めて、丁寧に手仕上げをしている。
「包丁は毎日使うものだからこそ、常にいい状態で、できるだけ長く使ってもらいたい。」
研ぎが鋭く、よく切れるのは当然のことで、サビや柄の磨きなど、見た目もキレイに新品のように仕上げることを大事にしている田中さん。
祖母や母が大切に使っていた形見の包丁を研ぎ修理してもらいたい、という依頼もあるそうだ。
修理後にお客さんが笑顔になって帰っていくのを見て「この仕事をやっててよかった」という達成感が得られるそうで、人に寄り添う心のこもった仕事をこれからも続けていきたいと語る。
そんな田中さんが未来に残したい風景は「延命公園」。
大牟田市内の中心部に位置し、スポーツ施設や動物園などがあり、多くの市民に親しまれている場所だ。
園内には展望台があり、市内を一望できるだけでなく、有明海や遠くに雲仙普賢岳も望むことができる。
ランニングでよくこの場所を訪れるという田中さん。
緑いっぱいの公園で深呼吸して、町を見渡す景色に癒やされ、心と体を落ち着かせる大切な場所だそうだ。