【 唐津焼❸ 】「初代の本音」 隆太窯 中里隆さん
2025年07月20日

佐賀県唐津市見借。
JR唐津駅から西へわずか3キロほどしか離れていませんが、そこは木々に囲まれ、清き川が流れる静かな山間の地です。
今年88歳になる陶芸家中里隆さんがここに隆太窯を築窯して51年目となります。
唐津焼の人間国宝、中里太郎右衛門を父とし、その父を師として陶芸の道を歩み始めました。
この地に落ち着く前の若い頃は、世界を巡って作陶を行っていたといいます。
「豪快奔放な野性味」などと評されるその作風のとおり、隆さんは愛用のキャップをかぶり、夏は上半身裸になってろくろを回し、器づくりに打ち込みます。

親子3世代で器を作っている隆太窯。
息子の太亀さんが駆け出しのころは「1日500個作るように」と隆さんに指導を受けていたといいます。
「自分は1日700個作っていた」と豪語するそうですが、太亀さんも三代目の健太さんも「1日700個は無理だろう」と笑いながらいってます。

隆さんは、とにかく豪快に笑います。
「陶芸は普通の仕事だよ」と言い切る隆さんの言葉からは、世界中にある仕事のすべてが大事で、陶芸はその一つであり、陶芸家にとって大切なことは、器を使ってくれる人たちの食事を豊かにするという信念と、「用の美」の精神だということが伝わってきます。

隆さんが愛する「緑があって、川があって、山間だから心地よい風が吹く」唐津市見借の風景と、隆太窯の隆さん、太亀さん、健太さん3代の焼き物職人が作る焼き物の「かたちとこころ」は、いつまでもつながっているようです。
