【建具職人❷】「涙と愛の父娘」前 成美さん
2026年04月19日

祖父、父ともに大工という一家に生まれた前成美さんは、中学生の頃から大工になることが夢だったそうです。
そんな成美さんが学校を卒業し、門を叩いたのが、大川市の建具製作所でした。
4年間、必死に修行を積み、それでも「大工職人になって父を手伝いたい」と、故郷・田川市に戻り、父のもとで大工としての修業を始めました。

しかし、いざ父と仕事を共にすると、現場はけんかの日々。
大工と建具職人では求める寸法の精度が大きく異なるなど、木材を相手にしていることは同じでも、木材に対する仕事のやり方は大きく違います。
成美さんは「建具職人と大工の二足の草鞋は無理だ」と悟り、建具職人として独立することにしました。

父と同じ現場で働き続けることはかないませんでしたが、わずかな日々でも、「父の仕事に対する姿勢を見ることができたことはよかった」と語ります。
一緒に仕事をすることで初めて気づく父の職人としての姿。
父の建てた家に建具を入れる際、その仕事のやりやすさから、成美さんは父の腕の良さを身をもって実感し、さらに尊敬の念が深まったそうです。
「父のような職人になりたいです」と、成美さんの修行の日々は続きます。

そんな成美さんが未来に残したい風景は、田川市の隣、糸田町にある「金山サクラ園」。
幼い頃から家族で訪れていた思い出の場所です。
中に入ると、一面に広がる桜並木は圧巻で、春が好きな成美さんにとって、一年のスタートを切る大切な場所となっています。