【金継ぎ職人❷】「真珠と漆と金継ぎと」八束達さん・八束千晴さん
2026年05月03日

福岡市中央区薬院に工房を構える「金継ぎ 八花」。
金継ぎ職人の八束達さんと千晴さん夫婦が、二人で工房を営んでいます。
金継ぎとは、天然の接着剤である漆を使い、割れたり欠けたりした器を修復する日本の伝統技法です。
最後に蒔絵の技法で金などを施し、新たなデザインとして生まれ変わらせます。

八束さん夫婦は、器の修復だけでなく、金継ぎの新たな取り組みを始めました。
それは、これまで生産者から規格外とされ、日の目を見ることのなかったアコヤ真珠に、漆と金継ぎの技術で新たな価値を与えることです。
傷や歪みがある真珠に、丁寧に漆を塗っていきます。
漆の面白いところは、塗った直後よりも時間が経つにつれて硬化し、透明度が増していく点にあると語ります。

規格外の真珠は、八束さん夫婦の手が加わることで美しくなり、多くの人々に届けられる新たな運命と出会いました。
漆と金で装飾された真珠は、唯一無二のアクセサリーとして生まれ変わります。
傷があった部分は金で彩られ、真珠本来の輝きと相まって、独特の美しさを放ちます。

千晴さんが未来に残したい風景として挙げたのは、糸島の西海岸にある砂浜です。
夫婦で気分転換によく訪れるそうで、千晴さんにとって「あるがまま」を感じさせてくれる特別な場所です。
自然の中で育った貝から生まれる真珠も、また「あるがまま」の姿で生まれてきます。
中には傷を負って生まれてくるものもありますが、そこに金継ぎという人の手を差し伸べることで、より美しく生まれ変わらせることができる。
伝統技術を通して、物に新たな命と物語を吹き込む八束さん夫婦の活動は、これからも多くの人の心を温めていくことでしょう。