【面彫師❶】「舞う神楽面彫師」工藤浩章さん(宮崎県伝統工芸士)
2026年05月10日

国の重要無形民俗文化財に指定されている「高千穂の夜神楽」。
平安時代末期ごろから奉納され続けているとも言われる神楽の歴史が息づく町で唯一の神楽面工房「天岩戸木彫」。
その三代目工藤浩章さん(64)は40年にわたり、神楽面を彫り続けてきた宮崎県が認定する伝統工芸士です。

25歳のころ先代に師事し、面彫師の仕事を始めると同時に神楽の舞手にもなったという浩章さん。
町に引き継がれる様々な面を目に焼き付け、普段の面彫りに生かしたのだそうです。
元々は、神楽がない地区から来たという浩章さんですが、今では舞いと面彫り、“二刀流”で夜神楽の伝統を支えています。

「神様は材料の原木の中に既にいらっしゃる。面を彫るというより、神を迎え出す作業といった方が正しいでしょうね」と語る浩章さん。
高千穂町では神楽面は「おもて様」と呼ばれ、大切に扱われてきました。
彫るというより、神様の周りにある木を取り外す気持ちで作業していくと、力が入りすぎず良いものが出来上がっていくのだそうです。

浩章さんが未来に残したい風景は「高千穂の夜神楽」。
各地区の取り組みの甲斐もあり、舞手の人数は30年前と同じ人数を保っています。
しかし、高齢化が進む町で、夜を通して行われる神楽は地域の人々の協力なしでは成り立ちません。
舞手として、面彫師として神楽を守る取り組みは続きます。