【ぬかみそだき職人】「丁寧に炊きあげる」藤田浩三さん
2026年06月21日

400年以上前から北九州の郷土料理として親しまれている「ぬかみそだき」。
サバやイワシなどの青魚などを、各家庭で代々受け継がれてきたぬか床のぬか味噌でじっくりと炊きあげた一品です。
「私の人生そのもの」と語る藤田浩三さんが一筋に仕込んできたぬかみそだきには、彼の生き様が映し出されています。

北九州・旦過市場で藤田さんが始めた「ぬかみそだきふじた」。
小倉名物として愛される伝統の味を実直に守り続けており、店頭は今もなお、その味を求める多くの人々で賑わいを見せています。

80歳の今も早朝から厨房に立つ藤田さんの魚さばきは、長年の経験がもたらした無意識の熟練技です。
「傷をつけず、手で触れる時間を最短にする」という言葉通り、手の熱を伝えないよう素早く、かつ丁寧に作業を進めるのが、魚の鮮度を最大限に活かして最高の味を引き出す秘訣です。

藤田さんが未来に残したい風景。
それは旦過市場の変わらぬ賑わいです。
「眺めているだけで素晴らしい」と語る顔には、市場への誇りがにじみます。
とりわけ年末に見せる活気は格別なもの。
北九州の台所として人々の暮らしを支え、多くの笑顔を育んできたこの市場の景色を、藤田さんは心から愛おしく思っています。