【ギターリペアマン➋】「受け継がれていく音」加藤公一郎さん
2026年10月04日

プロ、アマを問わず、地元のロック・ミュージシャンから愛される福岡市の楽器店BIGBOSS福岡で22年間、楽器の修理に打ち込む加藤公一郎さん(50)。
言葉で言い表しにくいギターの不具合があっても、プレイヤーの意図を汲み取って修理を施し、厚い信頼を集めているリペアマンです。
加藤さんが目指すのは“プレイヤーに楽しく演奏してもらう” ということ。演奏者が感じる繊細な不調を解消し、自らの耳を信じて理想の音を追求しているそうです。

とりわけ、全神経を集中させるのが、ギターの心臓部にあたる「ピックアップ」というパーツの取り付けです。
弦の振動を音の信号に変換し、音色を決めるギターの要で、どんなピックアップを使用するかで、70年前のクラシックな音色から現代の華やかな音色まで幅広い音を表現することができます。
髪の毛ほど細い電線を巻いたコイルが主体となる繊細な部品だからこそ、繊細な手作業の技術が試されます。

加藤さんが特に喜びを感じるのは、若い世代から持ち込まれたギターが、父親が若い頃に愛用していた年代物だった瞬間です。
1本のギターが親から子へと受け継がれる姿に触れることこそ、この仕事をしていて最も尊いと感じるそうです。

加藤さんが未来に残したい風景は、「福岡市の音楽がある風景」です。
初めて福岡に来たときに、福岡の街には音楽があふれていると感じたそうです。
加藤さんも若い頃は大濠公園の湖畔でギターの練習に励んでいたそうです。
街を行き交うギターを抱えた若者たちの姿を目にすると「この景色が続くよう、文化のつなぎ手として貢献したい」 と思いを巡らせるそうです。