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【椅子張り職人❶】「左手で掴んで」福本悟之さん

2026年10月25日

リッツウェル(Ritzwell)は1992年に創業された家具の会社である。
ヨーロッパ家具のデザインを取り入れつつも、細部に日本の職人らしい細かな心配りを施した、洗練された家具を生産しています。
「昔は職人皆ギラギラしていましたよ。でも皆で良くしていこうと切磋琢磨をしていました」
と語るのは、職人歴16年の製造部チーフの福本さん。
はじめは出荷担当のアルバイトとしてリッツウェルに入社した福本さんでしたが、どうしても家具作りがしたいと当時の社長に直訴して職人になったそうです。

福本さんが作業をする上で頼りにするのは、「左手の感覚」。
革を張る際に、左手で抑えたウレタンのつぶれ方を感じながら、ちょうど良い張り感で椅子を張るそうです。
膨らみすぎてもいけない、張りすぎてもいけない。
革の絶妙な手触りの変化を手のひらで感じています。
職人の手仕事で生み出された椅子は座り心地はもちろん、表面の光沢にいたるまで美しく、視覚的にも温かい印象になる椅子になるのです。

簡単には習得できない椅子張りの技術。特にデザイン性の高い椅子はより難しいそうです。
福本さんが16年間培ってきた技ではありますが、後輩への指導にも熱が入ります。
「すべてを教えてしまうと“自分の加減”を見つけられなくなる。自分で習得できるためのサポートをしっかりしています。」
と、一人ひとりの“感覚”を育てるため汗を流しています。

福本さんが未来に残したい風景は、糸島市一貴山の田園風景です。
「ここで生きていこう」と決め、移り住んだ第二のふるさと。
糸島工場に向かう道すがらに感じる自然で、うつろいゆく季節を体感できることが特に気に入っているそうです。
「出張から帰ると帰ってきたなぁと思うんですよね」。
糸島の海と山。
変わらない風景に抱かれ、職人の感覚を研ぎ澄ます福本さんにとっては、かけがえのない場所となりました。

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