売り上げ150倍!大川にある家具の通販会社 変化恐れず「生産やめた」~ふるさとWish大川市~
大川市といえば家具の印象が強いですが、いま、生活スタイルの変化や少子高齢化で業界の規模は縮小しています。
しかし、そんな中でも成長を続ける企業が。そのカギを握るのは、“変化”と“アイディア”です。
大川市の田園風景にある大きな建物。入ってみるとまるでIT企業のようなインテリアが並んでいます。
ここは大川市にある家具の通販会社「タンスのゲン」。
家具をインターネットで販売している会社で、昨年度の売り上げは146億円。30年間で売り上げが約150倍になりました。
成功の仕掛人は、「タンスのゲン」 2代目・橋爪福寿社長です。
会社の急成長の裏側には苦悩があったと言います。
「タンスのゲン」は1964年に誕生しました。
設立当時は婚礼家具のメーカーでしたが、オーダーメイドにも対応するようになり、小売りも始めました。しかし、時代とともに経営が厳しくなります。
「いろんなことをやったんですけどなかなかうまくいかなくて。生活様式やライフスタイルの変化で家具が売れなくなったんです」
480年余りの家具産地としての歴史を持つ大川市は、大分・日田市から筑後川で運ばれてきた木材の集積場として発展しました。戦後は機械化の波に乗り日本一の生産地となります。ところが、核家族化など生活様式の変化から、婚礼家具が売れなくなりました。全盛期の1990年から一昨年までに、約500の事業者が廃業に追い込まれています。
人材が集まらないことも町の課題です。大川市には鉄道の駅がありません。隣接する自治体と比べ、交通アクセスにも課題がありなかなか人の移住が進みません。
何か改革が必要だと思った橋爪社長は、思い切って自分たちで家具を作ることをやめたのです。
「昔のライバルは潰れてしまった。大きな家具から変わりきらなかった」
販路拡大や、人材不足という課題を乗り越えるため、橋爪社長が目を付けたのが“インターネット”でした。
会社内では、購入ページの制作のほかにスタジオを設け商品の写真撮影をするなど販売するまでの過程をすべて独自で行っています。
「私たちの強みは“変化対応”できること。とにかくやってみると。考えるとやらない方がいいと思うから。いまはスピードが大事。」
では家具メーカーはどうしているのでしょうか?
木彩工房・小島嘉則さんにお話を伺うと「小さい工房は大量生産が苦手。この“木の車”は、一人でやる仕事だからできるけど、普通はできないよね」
こちらの木の車、座席の部分には家具の見本材として4種類の木材を使用しており、ボディには組子と大川家具の技術が集約されています。
電気で走行し、一度の充電で約50km走ることができるんです。しかも公道もOK!
「販売ができればいいけれど(現在は販売しておりません)。それよりもやっぱり大川市が少しでも盛り上がるように、その一助になればいいと思っています」
地元で生き残り続けるために。
大川家具に関わる人たちは今日も新しいアイディアを考えています。
※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」3月13日放送)。