「用の美」(福岡県朝倉郡東峰村)
福岡の伝統工芸「小石原焼」の里、東峰村で生まれ育った和田義弘さん。
先代の父から「鶴見窯」を継承し、二代目として小石原焼を作陶している。
小石原焼の伝統技法を生かしながら現代風にアレンジし、独創的なデザインに挑戦している。
代表的なデザインは「ドット飛び鉋」。通常の飛び鉋である「線状」ではなく
「点状」の飛び鉋で、若い世代も受け入れやすいポップな表現をしている。
「料理を盛って、はじめて器が完成する」
芸術品としてではなく、生活に根差した「用の美」を大切にし、
「暗い・重い」というイメージを持つ人が少なからずいる「伝統的な小石原焼」。
そのイメージを払拭したいという思いでろくろを回す。
そんな和田さんが未来に残したい風景は「鶴見ヶ丘から見る小石原の里」だ。
窯元の近くにある「鶴見ヶ丘」は、父が名付けた「鶴見窯」の由来となっている。
中学校の跡地で、子どものころから遊び場として利用してきた。
大人になった今でもよく訪れ、美しい自然や空を写真に収めている。
癒しはもちろんだが自然や空の色の移り変わりは作陶の参考にもなっており、
父が名付けた窯の原点にもなっている大切な場所だ。
※この記事は2022年の情報です(「STORY」10月30日放送)。