開催中!3000個の風鈴の音色『鍋島藩窯 風鈴市』350年の歴史と伝統に触れる旅(佐賀県伊万里市)【イベント】

■山あいに響く涼音、鍋島焼の風鈴たち

初夏の大川内山に、今年もやさしい音色が帰ってきました。
佐賀県伊万里市の伝統工芸「鍋島焼」のふるさと、大川内山では2025年6月14日から8月24日まで、「鍋島藩窯 風鈴市」が開催されています。
29の窯元が丹精込めて焼き上げた約3,000個の風鈴が、緑に包まれた街並みに吊るされ、風に揺れるたびに涼やかな音を奏でます。色も形も個性豊かで、店先を歩けばひとつひとつ異なる響きに出会えるのも、この風鈴市の醍醐味。
2004年に始まった「伊万里風鈴まつり」が今年、装い新たに「鍋島藩窯 風鈴市」へと生まれ変わり、開窯350周年を祝う節目の年をより華やかに彩っています。

■夜の大川内山を照らす、“ボシ灯籠”のひかりの幻想

8月23日の夜、大川内山で開催されるのが「鍋島藩窯 あかり夏祭り」です。今年初の試みとして、「夜の窯元市」も企画されています。
“ボシ”と呼ばれる窯道具を灯籠に見立ててともす灯りが、夜の山里を幻想的に照らします。ボシとは、焼き物を窯に入れる際に灰が付かないように守るための耐火器具。その道具が、あたたかな光に姿を変え、道行く人々の心をほっと和ませてくれます。
当日は19時から点灯式が行われ、飲食ブースや夜限定の器販売も実施。昼間とは違う表情を見せる大川内山を、涼しい風とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。

■藩主のためだけに焼かれた“門外不出”の器

鍋島焼の始まりは、今から350年前の江戸時代。佐賀藩(鍋島藩)は、大名家や将軍家への献上品として、最高品質の磁器を焼くため、全国から選抜した陶工たちを伊万里の山奥・大川内山に集め、「鍋島藩窯」を築きました。
その徹底した管理体制のもと、絵付け・焼成・検品などの工程は職人が厳格に分業し、品質を極限まで高めたといわれています。藩窯で焼かれた鍋島焼は、藩外に出回ることなく、まさに“門外不出”の器。美しさと品格を兼ね備えたその姿は、「日本最高峰の磁器」として今も多くのファンを魅了しています。

■350年を経て、現代につながる“献上の精神”

鍋島焼は明治維新後、民窯として再出発しましたが、伝統の技と献上の精神は今なお脈々と受け継がれています。
2025年5月には、開窯350周年を記念し、伊万里鍋島焼協同組合が総理大臣官邸を訪れ、石破総理に「瑠璃焼締松柏鳳凰文瓶子」を献上。これは、江戸時代から続く献上文化を現代に伝える重要な儀式であり、鍋島焼がただの工芸品ではなく、精神文化の象徴でもあることを物語っています。

■夏の伊万里、大川内山へ。五感で味わう“鍋島焼の時間”

涼やかな風鈴の音、灯籠の揺れる光、そして手に取る器の美しさ。この夏、大川内山は静かな里山から、工芸と文化が交差する祝祭の場へと生まれ変わります。
歴史の重みを感じながら、現代の暮らしにそっと寄り添う“器”を見つけに出かけてみませんか?

『鍋島藩窯 風鈴市』
期間:2025年6月14日(土)~8月24日(日)
時間:9:00~17:00
場所:佐賀県伊万里市 大川内山一帯

『鍋島藩窯 あかり夏祭り/夜の窯元市』
日時:2025年8月23日(土) 17:00〜21:00(点灯式 19:00〜)

・お問い合わせ
伊万里鍋島焼協同組合
TEL:0955-23-7293(9:00~17:00)
公式WEBサイト:https://nabeshima-yaki.com
Instagram:@nabeshimayaki

エリア 気になるエリアの厳選情報をチェック!

もっと見る

ランキング 最旬の注目記事ランキングをチェック!