愛情深く破天荒
2025年04月19日
[福岡県]
博多人形を世界に知らしめた人形師・小島與一。
繊細な作品とは対照的に破天荒だった彼の生涯は、愛すべき弟子たちに囲まれていました。
博多人形師の最高峰と称される小島與一を知る人は、一同に彼の人間性をこう語っています。
「天真爛漫で破天荒」。
與一は、自分が興味を持ったものには、後先考えず没頭する性格。
新しもの好きで、お金が足りないのに歌舞伎の新作を観に行き、その帰りには問屋でお金を借りる。そして数日と経たないうちに歌舞伎役者の人形を造り上げていたと言います。
一方、弟子たちには、仕事への姿勢や礼儀を徹底し、失敗すると厳しく叱っていたそう。仕事以外では、弟子やその家族たちを大層可愛がっていました。
博多人形伝統工芸士 川﨑幸子さん
「小島の先生から（歌舞伎の）隈取の描き方を教えるからすぐに来るようにと言われて先生のお宅に行くと、玄関先で犬を抱っこして座っていて、私たちを待っていてくださりました。目を細めてニコニコして教えてくださりました。本当に優しいお顔でした。良い思い出です。」
厳しく破天荒ながら愛情深かった師匠を弟子たちは尊敬し愛していました。
博多人形伝統工芸士 川﨑修一さん
「先生を尊敬していた弟子の息子には、與一先生の『一』の字が付いている人が多いです。私の修一の『一』もそうだと聞いています。」
そして彼は、弟子たちに博多人形作りの指針を遺していました。
