秘められたこだわり
2025年05月31日
[佐賀県]
甲冑コレクション（5）
あの島原の乱でも着用したとされる、佐賀藩初代藩主・鍋島勝茂の甲冑。
派手な甲冑を好まず実用性を重視する勝茂の考えや、鍋島家の家風を象徴するように落ち着いたトーンでまとめられていますが、そこには秘められたこだわりがありました。
鍋島報效会 池田三紗学芸員
「一見すると黒っぽく見えますが深い青緑をしています。近年の成分分析の調査の結果、植物の顔料と、舶来のおそらく東南アジアから輸入されたであろう鉱物の黄色の顔料を混ぜて作られた、特別な塗料が使われているということが判明しました。」
舶来の顔料を使って生み出された深みのある色合い。
そこに勝茂の美的センスやこだわりを見ることができます。そして、鎧の裏には金色の文字が…
鍋島報效会 池田三紗学芸員
「銅の背中側の裏の部分に「鎧記」というのが記されています。鍋島勝茂公の活躍ぶりやこの鎧を受け継いだ鍋島直長の喜びの気持ちなども記されています。」
この甲冑は島原の乱の5年後、末っ子の直長に譲られました。当時15歳で、戦に出たことのない末っ子に対して何かを伝えようとしたのかもしれません。
名だたる武将たちの甲冑には、それぞれのこだわり・生き様が刻まれていました。
甲冑と向き合うことは、武将たちの実像に触れることなのかもしれません。