戦場に散ったカメラマン
2023年03月04日
[佐賀県]
一ノ瀬泰造(1)
激しい銃撃戦によって打ち抜かれたカメラ。
今から50年前、内戦中のカンボジアで消息を絶った戦場カメラマン一ノ瀬泰造が愛用していました。
今月は、一ノ瀬が生命(いのち)懸けで戦地を撮り続けた真実に迫ります。
1972年からフリーの戦場カメラマンとして戦地を駆け抜けた一ノ瀬泰造。
世界的スクープを目指し、バングラデシュ・ベトナム・カンボジアへと渡り、戦争による悲惨な現実を撮り続けました。
ベトナム兵が砲火から逃げる瞬間を捉えた「安全へのダイブ」。この写真は、アメリカの通信社UPIで月間最優秀賞を受賞しました。
生命の危険と隣り合わせの戦場で、彼にはどうしても撮りたい場所がありました。
「ここの写真は戦争になってから撮ったものがおらず、世界も注目している所ですから、命を懸ける価値はあると思います。」
友人への手紙に書いたその場所は、アンコールワット。
当時は内戦中で、立ち入ることさえ困難な場所でした。
危険を顧みずひとりアンコールワットへ潜入した一ノ瀬は、1973年11月、現地で消息を絶ちます。
26歳の誕生日を迎えたばかりでした。
生命を懸けて戦場カメラマンを志した原点は、故郷・佐賀県武雄市にありました。