新人女優 Kōki, の演技をあなたはどう見る?映画『牛首村』
2022年02月13日
[薫の日曜日もダイジョブよ!]
この作品のさらに詳しい情報はこちらまで→https://ushikubi-movie.jp/

試写会場に向かう前から怖かった。
これがホラー映画だからではない。「新人女優 Kōki,(コウキ)の誕生を目撃する」か、ただ単に「スクリーンに映る木村拓哉・工藤静香夫妻のお嬢さん(次女)を見るだけ」の二つにひとつだったからだ。
結論は、映画が公開されれば、彼女のもとには複数のドラマ脚本が届くだろう。その中には主役級のものが何本か含まれるはず。堂々の映画主演デビューだった。
演技にはまだまだ改善の余地はあるが、19歳(公開時)という年齢相応のキャラクターは当然としても、ふと見せる哀愁を帯びた表情は、演技指導だけでは達成できないレベルに思えた。
この原稿執筆中(1月24日)に、本作が世界三大ファンタスティック映画祭のひとつでポルトガルで行われる「ポルト国際映画祭」のコンペティション部門への出品決定のニュースが入ってきた。ひょっとしたらひょっとするかもしれない。

成功した理由のひとつが、清水崇監督(あるいは製作委員会?)の作戦だ。当初、彼女のはじめての映画主演作がホラーになったことについて「“キャー!”と怖がるシーンが多く、セリフより表情や感情表現などがキーになるから…」という記事があった。
「ご本人のセリフがいまひとつだから…」と受け取れる文章だが、これに対し清水監督はさらにハードルをあげてしまう。それは、なんと“一人二役”!
新人女優の初主演作で“双子の姉妹”を演じ分ける難しい設定にする作戦なのだ。
そして、本作の重要なキーワードも“双子”。彼女が“奏音と詩音”という双子の姉妹を演じるので、二人が同時にスクリーンに登場する。その場面は精密な合成技術が使われるが、物語終盤に同じく“双子”のキーワードが“超アナログ手法”で展開する。これがこの作品の怖さの原点だ。
大勢のゾンビに襲われた人間がドッカン!ドッカン!と応戦する“ハリウッド的怖さ”ではない。物語の舞台となった廃墟の建物やトンネルと相まって増幅される“生理的な怖さ”は、地上波テレビ局では放送できないレベルだった。

本来ならば、ここからストーリーの説明になるが、今回は詳しく書かない。次の三点だけ押さえて劇場に行くことが、あなたにとってプラスだからだ。
1、『犬鳴村(2020)』『樹海村(2021)』に続く「恐怖の村シリーズ」の第三弾。ただ、前の二作を見なくても問題はない。
2、舞台は北陸最恐スポットの“坪野鉱泉(つぼのこうせん)”。
3、現地には“牛の首”にまつわる恐ろしい都市伝説が存在する…以上だ。
そう書くと「古い言い伝えを大げさにしているだけじゃないの?」となりそうだが、冒頭から“SNSによる映像・情報発信”というこれまでのホラーにはない演出で幕が上がる。若い観客に合わせた“日常性”で展開していく点も清水監督の“作戦勝ち”だ。

物語が進むにつれ、自分は「Kōki,演じる姉妹が、次回作のシリーズ第4弾でも日本のどこかの“恐怖の村”に現れて…」という展開になるだろうと思った。それくらい“はまり役”だったわけだ。
しかし、潔(いさぎよ)いほどのエンディングに驚かされ、その予想は木っ端微塵に打ち砕かれてしまった。

本作は、二つの特性を持っている。第一に「新人女優Kōki,の華々しいデビューの舞台」になったこと。もうひとつが「(その予感はすでにあったが)長期のヒットシリーズ化確実な完成度の高いホラー作品」であることだ。
1970年代に大ヒットした『トラック野郎シリーズ』の10作品はもちろん、『新』を冠した8本を含めて18作品ある『網走番外地シリーズ』をも超える可能性がある。
なぜなら「口裂け女(笑)」にはじまって「怖~い都市伝説」は日本全土に数限りなく存在するからだ…。
※この作品は2月18日(金) から、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、ほかで全国ロードショー公開


