何回も押し寄せる「なんでそうなるの~!?」 映画『ザ・ロストシティ』
2022年06月23日
[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]
この作品のさらに詳しい情報はこちらまで→https://thelostcity.jp/
恋愛小説家が、伝説の古代都市【ロストシティ】に隠されたある“秘宝”をめぐって縦横無尽の大活躍…とくれば、80年代にキャスリーン・ターナーとマイケル・ダグラスのコンビでヒットした『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷(原題:Romancing the Stone/続編もあり)』のような作品を想像するのが当然だろう。
しかし、こちらは良い意味で観客を裏切り、ハリウッドの“新しい価値観”を感じさせる作品なのだ。
ラブ・コメディであり、アクション・アドベンチャーでもあるが、その展開は驚きの連続。まず、主演のサンドラ・ブロックが演じるロレッタ・セイジという小説家は、以前に歴史家としても活動していたという設定。
彼女の新作ラブ・ロマンスで描かれた“秘宝のありか”があまりにも具体的で、独り占めを狙う人物が登場する。その謎の億万長者・フェアファックス役は、あのダニエル・ラドクリフで、あたかも「ハリー・ポッターのイメージをかなぐり捨てる」かのような怪演を見せる。
一方、ロレッタの“相棒”・アランを演じるのは、チャニング・テイタム。小説をPRするためのイケメン・モデルで、ヒーロー登場か…と思わせるが、逆に足を引っ張るキャラなのでこれまたビックリ。
そして、伝説の古代都市を目前にすると、大物俳優のブラッド・ピットが登場。「そうか、やっぱり彼の方がキーマンなのね~」と思うのが当たり前だが、これまた予想外の展開。かなりクセの強いキャラなので、ぜひ劇場でお確かめいただきたい!
ここまで“定石”を外されれば、そこに何らかの意図を感じないわけにはいかなかった。
悪役が持つ、権力や金銭的価値へのこだわりは、男性社会の“悪癖”をデフォルメ(誇張)したと取れないこともない。それは“秘宝”の価値の本質がわかると確信に変わり、スクリーンからは「強大な敵をなぎ倒すことだけが真の強さか?」という疑問が投げかけられる。
「不器用だけれど熱意はある」とか「誠意を持って物事に取り組む」といった肉体的パワーだけでは得られないものにも価値を見出すべき…といった主張が伝わってくるのだ。
プロデューサーも兼ねているサンドラ・ブロックが、この後しばらく俳優業を休むと聞いたがもったいない。
チャニング・テイタムとのコンビは、これまでのハリウッド作品では見られなかったテイストだし、本作が「彼らの第1の冒険」というニュアンスだったからだ。
6月24日(金)からユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、TOHOシネマズららぽーと福岡、福岡中洲大洋ほかで全国ロードショー公開。
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