ハリウッドの誇りや威信をかけた映像! 映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
2022年07月27日
[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]
この作品の公式HPはこちらです→https://www.jurassicworld.jp/
劇場の大スクリーンに向かう前からワクワク・ドキドキ感でいっぱいだった。
1993年にスティーヴン・スピルバーグ監督によってスタートし、6作品に及ぶ「ジュラシックの歴史」がついに完結…という触れ込みだけでなく、肝心の映像もその大きな期待を裏切ることはない。
当然ながら“驚異的な恐竜のオンパレード”には目を見張るが、自分のツボにはまったのは“サングラスの外し方”だ。そんなかゆいところまで手が届く演出によって、このメガヒット・シリーズが大団円を迎えたと言っていいだろう。
ストーリー紹介は最小限にしておこう。舞台は、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018)』の4年後。「地球を支配するのは人類か恐竜か、それとも共存の道を選ぶのか?」という疑問に対する答えはまだ出ていない。
主要キャストのオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は“ある秘密”を持つ少女メイジー(イザベラ・サーモン)を保護しているが、14歳になった彼女との関係には難しいものがあった。
そんな中、オーウェンと心が通じあうヴェロキラプトル“ブルー”の子ども“ベータ”とともにメイジーが何者かに連れ去られる。そこには、恐竜の遺伝子を操作する企業の“ある陰謀”が隠されていた…という展開。
ポイントは、29年前の『ジュラシック・パーク』などでおなじみの3人、アラン・グラント博士(サム・ニール)、エリー・サトラー博士(ローラ・ダーン)、イアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)が登場することだ。
予告編でも事前に彼らの姿を見ることはできたが、てっきり“レジェンド扱い”で、出番も少ないと思ったのは大間違い。物語が進むにつれて重要な役どころだとわかって驚いた。
そして“ウリ”は俳優陣と同じレベルの主役級恐竜の数々。一作目の『ジュラシック・パーク』もアカデミー賞「視覚効果賞」を含む三部門を獲得したが、やはり29年は特殊撮影技術の進化にとって充分すぎる時間経過だ。
巨大なブラキオサウルスの足の筋肉が微妙に揺れる様子や翼竜のプテラノドンの翼ごしに太陽の光が透けて見えるところまで表現されている。それらは、本作の公式ホームページで「プロローグ映像」として公開されているのでぜひ事前にご覧いただきたい。
さらに、複数のスタッフがケーブルなどで操る“アニマトロニクス”と細かいところまで作りこまれた“マペット”に加え、最強のデジタル効果で生まれた恐竜が暴れまわるシーンも必見。
「デジタル効果と勘違いするアニマトロニクスと人形のようにリアルなデジタル恐竜」が“自然すぎる表情”で登場する。
ここまで、その映像についてクローズアップしてきたが、本シリーズは単なる「恐竜アクション映画」ではない。1990年出版の原作本でマイケル・クライトン(1942~2008)が伝えたかった「人間は地球上で最強を誇っているが、それは“慢心”ではないか?」というメッセージもキチンと描かれる。
30年ほど前ならば「それもそうだよな~」で済まされたものが、近年の地球温暖化、異常すぎる気象などを考えると「人間に迫る危機の原因は人間自身」という気もしてきた。
そんな現実を見つめる視点から映像に至るまで「ハリウッドの誇りや威信」を感じさせる2時間27分だった。
この作品は、7月29日(金)からT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、福岡中洲大洋ほかで全国ロードショー公開。