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薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!

スポ根だけど、単なるスポ根ではない! 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

2024年02月21日

[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]

この作品のさらに詳しい情報はコチラ→https://www.searchlightpictures.jp/movies/nextgoalwins

©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 久しぶりに「愉快・痛快なスポ根モノ」を見た!
 
 サッカー・ワールドカップ出場を目指すアメリカ領サモア・チームの実話がもとになっている。同じジャンルで思い浮かぶのがボブスレーを扱った『クール・ランニング(1994年)』だが、こちらの作品は「実話」→「2013年制作(日本公開は翌年)のドキュメンタリー」→「タイカ・ワイティティ監督による本作」という流れ。

 そのドキュメンタリーのタイトルは『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム××対××からの挑戦』だった。タイトルのスコアを伏せたのは劇場で驚いてほしいから。日韓共催の「2002 FIFAワールドカップ」オセアニア予選で、アメリカ領サモアがオーストラリアにコテンパンにやられたサッカー国際試合の得点差世界記録だ。

 物語のはじまりは「そんな弱くて不甲斐ないチームにマイケル・ファスベンダー扮する“風変わりな監督”が着任し、2014年のFIFAワールドカップ(ブラジル開催)予選でリベンジの1勝、いや1点を目指す…」というよくあるパターンだけど、そのあとは驚きの連続!

ワールドカップを目指すにもかかわらず、何かと投げやりな監督をマイケル・ファスベンダーが好演。

 ワールドカップ出場を目指すのに練習場は“野原”のような状態。アメリカ領サモア・サッカー協会会長は“いったいいくつの仕事を持っているの!?”という不思議な人。メンバーは体型からしてスポーツ選手と思えずズッコケの連続。“世界記録の大敗”を喫したゴールキーパーは姿をくらまして…。

 昭和時代にタイムスリップしてドリフのギャグ番組(古~い)を見ているような感覚になる。あくまでもフィクション、とにかく面白おかしいサッカー映画を作ろうと思っても考え付かないエピソードの連続だ。

 しかし、タイカ・ワイティティ監督はなぜ、10年前にドキュメンタリーが存在する話を映画化したのか…。それは、2人の主要登場人物のバックボーンに関係がある。

俳優のカイマナ(Kaimana)が演じるジャイヤ・サエルア選手と監督との対立が大きなポイントで…。

 1人目は実際の代表メンバー、ジャイヤ・サエルア(Jaiyah Saelua)。あるキャラクターを持つ世界初のサッカー代表選手で、やはり思いつかない副業をこなしながらサッカーに没頭している。

 そして2人目は、ファスベンダーが演じたオランダ人のトーマス・ロンゲン監督だ。冒頭で、彼を“風変わりな監督”と書いたが、何かと“キレやすい指導者”として描かれる。ただ、それには深いワケがあって…という展開。

 いずれも“ドライ”な表現が求められるドキュメンタリーでは難しいが、本作ではそこを深堀りした“ウエット”な表現で人間ドラマを紡いでいく。脚本もプロデュサーも務め“ひと癖もふた癖もある”タイカ・ワイティティ監督の見事な演出だった。

終盤になれば、チームワークは強固になっているはず…だが?

 クライマックスは、2011年11月22日に行われたアメリカ領サモア対トンガの予選試合。観客は150人程度だったとされるが、最後の最後までハラハラドキドキの展開で、このスコアも事前に調べずに劇場に足を運んでいただきたい。

 主要な登場人物のその後の映像とともにエンディングを迎えると、努力をするものには“試合に勝った負けたではない”勝利がもたらされると感じられる秀作だった。

 
 ※この作品は2月23日(金・祝)から、福岡中洲大洋、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13ほかで全国ロードショー公開。

“プロ選手として大金を得る以上に大切なこと”を自然に感じさせてくれて…。

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