これもある意味で「君たちはどう生きるか」なんだな~ 『インサイド・ヘッド2』
2024年07月31日
[薫と有紀の日曜日もダイジョブよ!]
この作品のさらに詳しい情報は→https://www.disney.co.jp/movie/insidehead2

2016年に公開された1作目と同じ様に、ディズニー&ピクサーの創造力はスゴイとしか言いようがない。
主人公ライリーの頭の中のファンタジーと私たちが生きる現実社会にもある彼女の人間関係が、いずれも3Dアニメーションでほぼ交互に登場するが、まったく違和感なく物語に引き込まれる。
表彰式は2025年3月2日で来年の話だが、第97回アカデミー賞Ⓡ長編アニメーション賞の大本命と言っていいだろう。

今回、主人公の少女ライリーは高校への入学を控えている。アイスホッケーの才能が開花したようだが、アメリカ社会のホッケーリーグの特別な存在感が興味深かった。
彼女の頭の中の感情…ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリたちも続投し、ライリーが幸せに暮らせるよう奮闘している。
そこに突然、大音量で警報が鳴り響く。いくらアニメでも、いったい何事が起ったのか?という展開だが、これが「ライリーが思春期を迎える」設定なのだ。4つの新しい感情たちが彼女の頭の中の司令塔に突入して混乱を巻き起こす。
これからご覧になる方もいらっしゃるので詳しくは書けないが“嫉妬心”や“人を羨む気持ち”としておこう。ただ、それらは前作から続投の“基本的な感情”に敵対するばかりではなく、人間として成長するうえで必要なものとして描かれる。
「善の感情vs悪の感情」といった単純な構造ではないのだ。
『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『リメンバー・ミー』といったファミリー向けの秀作を世に出してきたディズニー&ピクサーなので、吹き替え版をご覧になる親子連れの方も多いだろうが、単純ではないから大人と子供とで受け止め方が大きく違うはずだ。さらなる続編があれば、広い意味での「君たちはどう生きるか」が扱われるかもしれない。

本作は、日本に先駆けて6月14日から全米はじめ世界各国で公開されたが、アニメーション映画史上歴代No.1オープニングの大ヒットになった。
世界での興行収入は14億6276万ドル(およそ2245億円)を突破して、これまでトップだった『アナと雪の女王2』の14億5368万ドルを抜き去りアニメーション映画史上世界No.1を達成している。
世界には「宮崎駿作品ならば必ず観に行く」という“ジブリ・ブランド”があり、ディズニー&ピクサーにも同じブランド力がある。ただ、これほどの人々が映画館に足を運んだのは、特に親の世代が「世界に渦巻く大人社会のニュースを見聞きしている子供達には健全なヒューマニズムを教えてなくては…」と感じたからだろう。

※この作品は8月1日(木)からT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、ユナイテッド・シネマ福岡ももち、TOHOシネマズららぽーと福岡 ほかで全国ロードショー公開です。